松岡農水大臣は平成19年1月18、19の両日、中国を訪問し農産物輸出を含む農業問題について協議をおこなった。1月14日、フィリピンのセブで開催された東アジアサミット時の安倍首相と温家宝首相との会談で、安倍首相が日本からの米の輸入の再開を要請したのに対し、温首相が積極的な検討を約束したことを受けたもの。
李長江(りちょうこう)国家質量監督検験検疫総局長との会談で、松岡大臣から日本産精米の対中輸出について早期の解禁を要請したのに対し、同局側から重要性を理解すると、事実上解禁を認める発言があり、今後双方の検討を加速して、今年4月に温家宝首相が来日しておこなわれる日中首脳会談での最終決着をめざすことになった。
中国側が重視しているのは米の貯蔵中につくカツオブシムシの検疫問題。平成15年始めまでは日本から中国へ米を輸出していたが、同年3月にカツオブシムシが確認されたとする検疫上の問題で、中国が輸入をストップし、禁輸状態が続いている。
今後、貯蔵中の害虫発生防止の管理ができる精米工場での作業ルールなどについて、双方が了解できる基準づくりをすすめる。また、中国側は出荷前のくん蒸を条件にしている。日本側は基準を満たした精米工場を指定する。輸出は小袋入りの精米でおこなわれる。
輸出が決定された以後の輸出開始時期については、早場米が収穫できる7月からなどの憶測もあるが、農水省は開始時期は輸入側が決めることとしている。
米以外の品目については、日本側からは牛肉、野菜、果物など、中国側からは家きん肉、野菜、飼料用稲わらなど、それぞれの関心品目について意見交換をおこなった。
今後、日中間の農産物の貿易について継続して協議をすすめるため、農水省と中国国家質量監督検験検疫総局との間で次官、局長級などによる協議システムを4日上旬をめどに設立することも合意された。
用語解説
○カツオブシムシ=カツオブシムシ科の昆虫の総称。衣類や乾燥食品を食害する甲虫で、幼虫の体長は約9mm、成虫の体長は約4mm。日本では、ヒメマルカツオブシムシが本州、九州で確認されている。
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