中国の温家宝首相の来日に合わせて4月11日朝開かれた松岡農林水産大臣と李長江・中国国家質量監督検験検疫総局長(大臣)との会談(写真)で日本産米の対中輸出に関する植物検疫条件について合意、コメの対中輸出が再開する枠組みが決まった。
中国側が検疫対象としている3種類のカツオブシムシについて、日本側の精米工場に誘引剤を設置して調査を実施、発生がないことを確認したうえで農水省が対中輸出向け精米工場として指定、中国側が視察して認可する手続きをとる。
輸出する精米は通気性のある包装材を使用し中国向けであることを明記、中国語で品種、精米工場、輸出者名などを表記する。さらに輸出前に港湾施設でくん蒸処理を行い植物検疫証明書に記述する。
また、中国の輸入港(空港)でも到着後に検査を実施し、精米工場指定後の輸出1年目には中国側検査官が実地調査を実施する。
協定への署名後の会談で松岡大臣は米輸出再開合意に感謝し「日中の協力関係を深めていきたい。できるだけ早く第一便が中国に届くように手続きを迅速にしてほしい」などと述べた。李局長は「今回の署名は日中間貿易の発展につながるもの。中国国民の関心も高く迅速に手続きをしていきたい」などと話した。
今回の合意で「事実上、検疫問題は決着」(農水省)としている。今後は合意条件にそって、精米工場の指定・認可などを実施していくことになるが、全農が首都圏の輸出実績のある精米工場の指定・認可を受ける方向で検討しており、第一便として6月にも「北京と上海合わせて25トン」(農水省)の精米輸出実現に向けた協議が行われている。中国側の企業は国家貿易企業の中国糧油食品進出口有限公司(COFCO)。販売品種や仕様などはCOFCO側の意向が軸となるとみられるが、農水省によると価格では日本産米は香港で1キロ1000円で販売されている例もあるという。
また、中国国内での販路開拓の一例としてノルウエーのサーモンがあり、民間の駐在員と政府によって内陸部まで流通経路を整備するなどマーケットを広げたという。今回の合意を機に、JA全農は今月から北京に駐在員を派遣する。
また、今回の会談では日中両国の検疫問題に関する定期協議を実施することも決めた。大臣級で2年1回、副大臣級で年1回などの枠組みをもとに、専門家レベルでは随時協議をしていくという。
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