JA全農は一昨年から新潟県下でエタノール原料イネの栽培調査・実証事業に取り組んできたが、このほど農水省の「バイオ燃料地域利用モデル実証事業」に採択された。
原料イネの生産は今年度はJA南蒲とJAえちご上越管内で取り組む。品種はインディカ系米「北陸193号」で昨年度の栽培実証試験では単収880kgだった。19年度は2JA合わせて37haを試験的に作付けし保管・乾燥や、エタノール製造工場でのエネルギー源として利用する籾殻の運搬、収集などの検討を行う。原料イネの生産者には産地づくり交付金を活用して一定のコスト分を補てんする。
実証試験の目標では20年産で他のJA管内も含め280haまで作付けを拡大。生産量2250トンをめざす。
エタノール製造工場は新潟市の(株)コープケミカル新潟工場内に建設予定で年間1000klの生産が目標。さらに全農新潟石油基地でエタノール3%混合ガソリン(E3)を製造、県内約40のJA−SSで販売する計画となっている。
原料イネの生産からE3の製造・販売まで一貫しておこなうモデル構築が大きな特徴だ。E3の製造量は3万3000klとなる。全農新潟県本部が供給するガソリンは17年度で12万5000kl。計画が実現すればそのうちの27%がE3となる。また、エタノール製造で出る発酵残さの飼料としての活用も目標としている。
施設整備の総額は15億4800万円。2分の1を国が補助する。エタノール製造工場は20年5月に着工予定で同年10月の試運転を経て21年1月から本格稼働し販売される。
この実証事業は水田を水田として活用することにより、地域の農地・水・環境を保全していくことも目的。JA全農の裄V武治会長は「地域の水田で作ったイネから地域で使う自動車燃料を作るというエネルギーの地産地消が全国でもなりたつようこのモデル事業を成功に導きたい」とコメントを発表している。
なお、北海道中央会とホクレンなどで構成する北海道農業バイオエタノール燃料推進協議会がてん菜と小麦からエタノールを製造する事業も採択された。工場は上川郡清水町のホクレン十勝清水製糖工場内に設置し、年間1.5万kl製造をめざす。また、オノエンホールディグス(株)などが構成員の北海道バイオ燃料地域協議会の米を使ったエタノール製造事業も採択され、同事業も苫小牧の工場で年間1.5万kl製造をめざす。採択された3事業合わせたエタノール製造量は3万1000klとなる。
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