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企画提案型の集荷を推進 −JA全農米穀事業


 JA全農は18年度から、販売対策費を廃止し全農一体となった販売推進や、価格と数量をセットした相対取引への転換などを柱とした「新生全農米穀事業改革」に取り組んでいるが、このほど事業をさらに強化するため今後の集荷・販売戦略を明らかにした。
 全農は米穀事業の現状について、JAグループ以外の業者から最終需要に関する末端情報が生産者、JAなど生産現場に伝わって個々に結びつきが生まれ直売が拡大するなど、JAグループの機能が分断し、総合力が発揮できていないと分析。今後は組織的な競争力を強めるためそれぞれが適切に機能を分担し結集することをめざす。
 そのため具体的な取り組みとして、消費地販売情報を的確に把握し、担い手など生産者に伝達、JAと一体となってコメ生産の企画提案をし集荷に結びつける企画提案型集荷を推進する。生産と資材部門が一体となった推進体制の確立も検討する。
 また、JAとの出荷契約を出荷確約契約にして違約措置を導入することや、出荷確約契約とそれ以外との間で取引条件に差をつけることも検討する。
 企画提案型集荷推進の起点となる東西米穀販売センターは、卸販売、精米販売に関する実需者情報を徹底的に収集しJAに伝達するほか、用途別・業態別の推進に転換するため卸販売推進部署と精米販売推進部署を区分することも検討する。
 最終需要での全農グループのシェア拡大も課題としており、全農パールライス事業全体を統括する部署の設置精米販売推進部署としてのパールライス部門の明確化精米販売力強化のための会社・工場再編の促進精米品質向上のため工場管理体制の整備といったパールライス卸事業の改革と、協力卸業者との連携強化も進める。

◆計画生産の徹底と結集力

 また、米が大幅に供給過剰となった場合、JAグループが販売調整をするとそのコストがJAグループに出荷した生産者の負担となって生産者手取りは減少し競争業者に負けることになるため、全農は委託された米を需給と品質を反映した適正な価格で早期に売り切ることに努めるとしている。そのほか、有利販売と共同計算運営コストの徹底的な削減などを通じ追加払いを含めた最終精算価格で競争業者に負けない取り組みをすすめ概算金の内金追加払い方式も徹底する。
 19年産から新たな需給調整システムに移行し、生産調整方針作成者であるJAが計画生産を主体的に担う仕組みとなった。一方、今年度から実施される品目横断的経営安定対策のうち、生産条件不利補正対策(ゲタ対策)の対象に米は入っていない。そのため計画生産の実効確保が、生産者の所得水準を左右することになる。外食・中食の増加などの消費構造の変化や、少子高齢化による米の消費量の減少が継続するといった環境変化のなかで、的確に需要を捉えた計画生産がきわめて重要になっている。
 全農は一体となった米販売への取り組みで交渉力が強化されたとして、こうした集荷・販売戦略の見直しによって連合会に結集する有利性をさらに確立し、JA・連合会の機能分担と連携強化を図りJA出荷を促進していく方針で、19年産では455万トン、集荷率55%を目標にしている。

(2007.7.27)

 

 

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