農業協同組合新聞 JACOM
   
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年間5万トン以上販売は20業者〜米穀卸売業者の経営状況等調査結果
−農水省 (12/14)


◆取扱い減が4割

 農水省は12月14日、平成16年4月に「主要食糧の需給および価格の安定に関する法律(食糧法)」の一部改正で計画流通制度が廃止されて以来初となる、米穀卸売業者の経営実態等調査結果を公表した。
 調査対象は、平成16年3月31日現在で改正前の登録卸売業者であり、調査時点(平成19年9月〜11月)で米穀卸売業を営む者のうち、全農系の卸売業者(パールライス系卸売業者)を除いた261業者。このうち257事業者(98.5%)が回答した。
 精米に換算した米の販売数量別の分布状況は、回答した252業者のうち年間1万t未満の業者が全体の3分の2(163業者)で、小規模業者が大半を占めている。5万t以上の大規模業者は20業者(7.9%)だった。
 精米設備の操業率は、4割強(43.7%)の業者が50%未満で、従来から指摘されていた操業率の低さが今も続いている。規模別では、米の販売量が5万t以上の大規模層では操業率が70%以上と回答した業者が45.0%だったのに対し、4000t未満の小規模層では操業率30%未満が約半数(48.1%)で、事業規模が大きいほど操業率が高い。
 米の仕入れは、「減少している」が全体の約4割(40.5%)で、米の消費量の減少を反映した形だ。事業規模別では、規模が小さいほど「減少」が多く、4000t未満の業者では半数以上(53.2%)になっている。反対に5万t以上の層では、4割強(45.0%)の業者が「増加している」とした。仕入れ価格については、いずれの階層も「低下している」とする回答が多く、事業規模による差はないようだ。
 販売についても仕入れと同様の傾向がみられ、事業規模が大きい業者は「増加している」が多く、規模が小さくなるにつれて「減少」の割合が多くなっている。販売価格は、仕入れ価格と同様にいずれの階層でも「低下している」が最も多く、規模による差はみられない。

◆中小卸、半数で赤字

 現行の米価水準については、全体の6割(61.9%)が「上がったほうがよい」と答え、各層ともに同意見だった。
 異品種混入の可能性については、「まったくない」が29.4%、「可能性はあるが、チェック体制はできている」が61.1%、「可能性があり、チェック体制がない」が3.6%だった。チェック体制がないのは、1万t未満層。
 問題がある商品が発生した場合の処理体制については、全体では9割(87.3%)の業者が「できている」と答えているが、やはり事業規模による差が大きく、4000t未満の層では約2割(19.5%)が問題のある商品が発生しても処理ができないという。
 経営状況については、約3割(27.8%)が「経常利益が赤字」と回答。中小では顕著で、4000t未満層の約半数(49.4%)を占める。さらに規模が小さいほど経常赤字はふくらんでいる。しかし、5万t以上の層では利益が「減少している」のは2割(20.0%)で、3分の1(35.0%)は「増加している」としている。
 今後の経営改善の可能性については、全体の8割弱(77.8%)が「改善が見込める」と回答した。しかし、今後の経営の方向については約7割(70.2%)が「現行どおり」としている。一方で、「他社との合併」を考えているのが5.5%、「他社との業務提携」を考えているのが22.7%となっている。

(2007.12.19)

 

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