農水省の農業経営統計調査(平成17年)(2月20日付既報)によると、畜産経営(個別経営)の収支は、養豚、肥育牛、酪農ともそれぞれ飼養規模の影響を強く受けている。
養豚は、鶏も含めた畜産全体のなかで、1戸当たりの農業所得は896万円とトップだが、飼養規模別では、1000〜2000頭規模では1964万円、2000頭以上では3027万円と規模の拡大につれて農業所得が大きく増加する。家族農業労働1時間当たりの農業所得が示す労働収益性も、規模に比例して高くなり、1000〜2000頭層で平均の2187円を超え、2000頭以上では7482円と飛躍的に増加している。家族農業労働時間も、1000〜2000頭までは増加するが、2000頭以上では減少しており、スケールメリットが出ている。
肥育牛では、1戸当たりの農業所得は50頭以上の層で平均の769万円を上回り、100〜200頭では1052円、特に200頭以上では2311万円と多くなる。労働収益性も規模に比例して高まり、200頭以上では100〜200頭の2403円に対し4621円と1.9倍になっている。しかし、家族農業労働時間は規模の拡大に比例して増加している。
酪農では、1戸当たりの農業所得は30〜50頭以上層で平均の753万円を上回り、100頭以上の層では2038万円と平均の2.7倍に達している。労働収益性も30〜50頭以上層から平均を上回り、100頭以上では2877円と平均の1446円の約2倍になる。家族農業労働時間は規模の拡大に比例してなだらかに上昇し、20頭未満の706時間が100頭以上では2877時間になっている。
畜産経営は施設や機械化への投資が伴うため、規模が拡大するに従って養豚、肥育牛、酪農とも農業固定資産額が増加している。固定資産額は養豚の2000頭以上で7436万円、肥育牛の200頭以上で2879万円、酪農の100頭以上で1億4060万円となっている。
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