農業協同組合新聞 JACOM
   
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事業理念と日常業務を結ぶ「私たちの道しるべ」を策定
−JA共済連


 JA共済連(上原寿宰理事長)は、この4月1日から、協同組合理念の「相互扶助」やJA共済の使命と職員の日常業務を結ぶ11のキーワードからなる「私たちの道しるべ」を策定し、これを活用した職場ミーティングや研修などの取組みを継続的に実施することで、JA共済連らしい職員の育成と職場の活性化に取組んでいくことにした。

協同組合理念「相互扶助」とJA共済の使命を達成するために

◆理念・使命と日常業務を結ぶ架け橋に

 JA共済連は平成12年に全国一斉統合を実現してからまる6年が経過した。この間、各種の制度的な面では整備が進んできているが、職員の意識面まで含めて1つの組織になったかというと、本部ごとの歴史や職場風土の違いがあり、まだ「なりきれてはいない」といえる。精神的な面も含めて1つの組織となるためには、「仏はできた」のでそこに「魂をいれ」全職員の意識のベクトルを一つの方向に合わせていくことが必要だといえる。
 また、JA共済は営利を目的とする民間生損保会社とは異なり、農業協同組合が理念とする「相互扶助」を事業の原点とし、最良の保障・価格・サービスを提供することで、組合員・利用者の豊かな生活づくりに貢献することを使命としている。この理念・使命に基づいた日常的な業務の遂行が職員には求められるが、煩雑な日常業務に追われているとそれが乖離してしまう恐れがある。
 そのために、協同組合理念やJA共済の使命と日常の業務・行動との架け橋となるものが必要になる。それが今回策定された「私たちの道しるべ」だ。

◆人に尽くし、心を尽くすことを根本的な精神に

 この「道しるべ」にはキーワードとして、樹木にたとえれば大地・土壌にあたる「共通の価値基盤である私たちの原点」としての協同組合理念とJA共済の使命があり、そこに根ざす根や幹にあたる「共通の価値基盤に根ざした根本的な精神」として、「貢献」と「誠心誠意」の二つがある。
 「貢献」は「組合員・利用者・JA職員。私たちは多くの人に支えられて、私たちはここに在るから。私たちも、その人びとを支え、尽くしていきたい」という「人に尽くす」という心だ。
 「誠心誠意」は「飾り立てない。ウソも建前も必要ない。共に支え合う仲間だから。心を尽くし力を尽くして、お役に立ちたい」という「心を尽くす」という心だ。

◆ボトムアップによって選び抜かれたキーワード

 そして枝にあたる中項目として「根本的な精神を軸とした仕事を進める上での基本的な考え方&姿勢」を表す信頼・志・情熱・勇気・先見・挑戦・個性・プロ・チーム・育成・成長の11の言葉がある。日常業務で迷ったときに、励まし支えてくれる言葉だ。
 これらのキーワードは、16年度下期から全国本部や各県本部の役職員にインタビューし、そこで語られた多くの言葉を130くらいの共通する項目に整理したうえでまとめたものだ。さらに各本部職員からなるプロジェクトチームを編成し、展開方法などを1年以上かけて検討してきた。つまり、トップが決めて上意下達的に強制するものではなく、ボトムアップによって職員自らがつくりあげてきたものだ。
 この背景には、平成14年ころから、仕事を離れ、年齢や役職の上下を離れて、役職員が自由に話し合う「オフサイドミーティング」が多くの職場で行われてきた。そこで語られたそれぞれの人の言葉の裏にある経験や思いを伝え合い理解し合ううことで、「信頼」も生まれてきた。そういう経験の蓄積もある。

◆JA共済の語り部をたくさんつくること

 このプロジェクトを担当している全国本部人事部の内澤修主任は、協同組合理念やJA共済の使命について多くの職員が「思いをもっているが、それが潜在化している。これを通じてその思いを顕在化し、しっかり土台をつくる」ことだと話す。
 村山美彦人事部次長は、「私たちの道しるべ」がめざすものは人づくり・人材育成だと話す。人づくりには、学ぶ・教えられるそれを実践し経験する経験したことを伝える・教えるの3つの段階がある。この3つの段階を経たJA共済の「語り部」をつくりたいのだという。
 4月以降、各職場ごとにミーティングをして、11のキーワードを実行するための具体的行動にブレークダウンし、職場目標として設定することになるが、これがそれぞれの枝(11のキーワード)に葉や花となって育っていくわけだ。

◆誇りをもって「きれい事」を語り実行しよう

 職場目標は、職員が自ら主体的に考え実践することを目的としているので、それぞれの職場ごとに創意工夫して展開していくことになる。だから、葉や花は職場ごとに違った形や色合いをもつものになるのだろう。そしてやがて、たくさんの樹が共通の価値観である協同組合理念とJA共済の使命という土壌の上に集まり成長して森となっていくのだろう。そういう意味では「私たちの道しるべ」はゴールではなくスタートだといえる。
 「私たちのみちしるべ」を読むと「なぜ、ここにいるのか」「なぜ、この仕事をしているのか」「これからどんなことをしていきたいのか」を、一人ひとりのJA共済連職員に改めて問うている。
 「そんなのはきれい事だよ」という人もいるだろう。だが、理念も使命もなく己の利益だけを追求することが多いいまの世の中だからこそ、「きれい事」を誇りをもってキチンと語り、実行することが大事なのではないだろうか。

共済連

(2007.3.12)

 

 

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