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挨拶する木田会長 |
(社)日本施設園芸協会主催の『加工・業務用対応方策総合検討会』が3月12日、南青山会館で開催された。野菜の加工・業務用での国産のシェア拡大とその取り組みに不可欠な契約取引に関する課題と対応などを検討するために開かれ、生産者、学者、JAや行政の関係者など200名を超す人が集まった。
同協会の木田滋樹会長は、「まだ生産者の中には、加工・業務用と生鮮用の野菜の違いを認識していない人もいる。それが輸入野菜のシェア拡大を許した原因の一つではないか。中食・外食など実需者のニーズに合わせた野菜生産に取り組み、安定した経営を」と、生産者側の意識改革が求められていると挨拶した。また、鈴木良典農水省生産局野菜課流通加工対策室長は、「加工・業務用野菜生産に向けて、どのような産地づくりをすれば良いのか、みなさんからの積極的な意見を期待している」と、一人ひとりが生産現場で日頃考えていることなどを、参加者全員が共有することが大切だと述べた。
基調講演で、佐藤和憲(独)農業・食品産業技術総合研究機構中央農業総合研究センターマーケッティング研究チーム長は、「加工・業務用の生産で一番重要なことは、季節単位、年単位での安定供給だ。実需者や用途により異なる栽培方法、品質、規格など小さな発注ロットへ対応するため、生産者グループも小規模多グループ化が大切」と、個々の実需者に対応したきめ細かな生産が求められていると語った。
意見交換で、仲野隆三JA富里市常務は加工・業務用野菜生産を行ってきた経験から、「中心となる生産者を確保し欠品をなくす」、「個々の生産者全体をJAがサポートする」、など現場での具体的な取り組みを紹介した。(株)若菜チーフバイヤーの大金道彦氏は実需者の立場から、「我々が知りたいと思っているのは、事前の価格。生産者の方には作って見なければ(価格が)いくらになるか分からない、と良く言われる。しかし、それでは我々はメニューづくりができない」と、品目、栽培面積、栽培方法などから事前に価格が呈示できるような生産者になってほしいと要望した。また、「生産者はものづくりを行うメーカーなんだ、と言う意識を持つべきだ」とも強調した。
会場からは、「契約栽培で安定経営をと言うが、個々の生産者と実需者は対等ではなく、不公平にはならないのか」、「実需者が生産者を選び、生産者はなかなか実需者を選べないのではないか」など、契約栽培に関する質問があった。それに対し、「個々の生産者ではなく、生産部会やJAなど大きな単位での契約が必要」、「産地と実需者が常に連絡を取り合い、お互いの立場を理解し合うことが大切」などの回答があった。また、加工・業務用野菜については、必要なとき必要なだけという調整が欠かせないため、産地と実需者を結ぶ「コーディネーター」役が必要、その役割をJAなどに期待するとの声もあった。
意見交換の後、「キャベツに見る加工・業務用向け低コスト生産の実践」、「にんじん・だいこんで考える根菜類の省力化栽培」、「レタスを事例として葉菜類の安定生産技術」のテーマについて分科会を行い、個別の品目についてより詳しく検討した。
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