公正取引委員会は2月はじめに「農業協同組合の活動に関する独占禁止法上の指針(案)」(農協ガイドライン原案)を提示し関係各方面から意見募集を行っていたが、JA全中は3月15日、JAグループの意見をまとめて公正取引委員会に提出した。
ガイドライン原案では冒頭に農協についての規定が記述されているが、JAグループの意見ではこの部分について、農協の事業などが正確に理解されるよう追加的な記述を求めている。
原案では「農業協同組合は〜(組合員の)経営効率の向上や生活の改善を図ることを目的としている」とされているが、JAグループは農協法8条の趣旨を反映させ「組合員に最大限奉仕する非営利組織である」ことを追記することを求めている。
さらに農業経営の効率と生活の改善という目的のために「組合員が事業を利用して協同活動に結集することによりその使命を果たすことができる」ことも追加すべきとした。
また、原案では「共同事業」という言葉が定義のないままに使われていることから定義を明確に盛り込むことも求めた。たとえば、「組合員が事業または生活を行うために必要な活動の一部を集中して協同組合の事業として行うことによって、組合員それぞれが利益を得るという方式で行われる事業」などだ。
一方、原案ではJAグループが取り組んでいる生産履歴記帳運動について明記。安全・安心志向が強まるなかで、農畜産物の品揃え、ブランド化などにとって「重要な役割を果たしている」と記述している。原案作成時に公取委がJAの現状視察などを踏まえて盛り込んだものでJAグループとしては評価をしている。 ただし、原案では「合理的な理由が認められる必要最小限度の範囲内で単位農協の農畜産物の生産方法を統一することは〜それ自体独占禁止法上問題となるものではない」との記述にとどまっている。そのため問題とならないケースを例示するよう求めている。
また、生産履歴がない農畜産物を共同販売事業の対象としないことは独禁法上問題にはならないことを明確にすることも求めた。
具体的な記述例として、▽生産履歴記帳はすでに普及率が高く記帳が当たり前になっていること▽ポジティブリスト対策の一環としても記帳が不可欠であることなどを記述したうえで、生産履歴記帳のないわずかな農畜産物について、それを分別集荷することが共同販売事業の効率性を大きく妨げているような場合には、非記帳農産物を共同販売事業の対象外とすることは、原則として独禁法上問題とはならない、などの追記を提案している。
そのほか生産調整についても組合員などに誤解されないようにするため、生産調整は国民への食料の安定供給や、組合員の経営継続のために必要な行為であることを明確にすべきであるとの意見も提出している。
同ガイドラインは関係方面から意見を受けて公正取引委員会が3月末に決める。JAグループでは今後、農協ガイドラインを活用して独占禁止法を遵守する運動を改めて展開していく方針だ。
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