農水省は3月30日に開いた第5回食料供給コスト縮減検証委員会で、昨年9月に策定したアクションプランに盛り込まれた主要な取り組みがどの程度コスト縮減に寄与するかの試算を公表した。
試算したのは米と野菜。米ではJAグループが現行60kgあたり3000円程度の流通コストを20年産までに同2000円以内に抑制する目標を掲げている。農水省の試算ではこれによって小売段階の供給コストの5%程度の縮減に寄与するとした。
また、安価な生産資材の供給と効率利用の推進、担い手への作業集積を通じた効率化による労働時間の短縮などの寄与度は10%弱と試算した。これらを合わせて米では小売段階の供給コストは15%程度縮減することになる。
生鮮野菜では、キャベツを例に▽卸売市場の再編・合理化と手数料の弾力化▽通い容器の普及とIT技術の活用による包装資材費、人件費、販売管理費の縮減▽物流拠点の再編と配送の共同化や卸売市場の連携による物流システムの構築▽地産地消の推進など多様な流通チャネルによる輸送費の軽減などで、供給コストの10%弱を縮減できると試算した。
また、加工業務用キャベツでは▽収穫機の導入による労働時間の低減▽加工業務用向けの大玉化などによる単収増で、供給コストの15%弱を縮減できるとした。
この日の委員会ではアクションプランに基づく今後の課題として肥料・農薬面では▽BB(バルク・ブレンド)肥料を工場設置県の近隣県に普及するための広域流通体制づくり、工場から産地への直送、▽農薬での散布労力軽減につながる軽量剤の普及と大型包装品の一括配送の推進などが指摘されたほか、農機では▽担い手のニーズに応じた機能を絞った低価格機種の拡大▽機械の稼動面積拡大の加速などが挙げられた。
そのほか野菜の規格外品の供給拡大や、担い手への農地の面的集積の加速化なども課題とされた。
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