農水省はこのほど農業新技術2007を決定した。近年の独立行政法人等の研究成果から、農政上の課題や現場ニーズに対応できる新技術をピックアップしたもので、今後関係機関と連携して普及・定着させていく。
生産性が高く、高品質な農産物生産に向けた技術として、「不耕起汎用播種機」「大豆の安定多収生産
<300A技術>」「超低コスト耐候性ハウス」が選定された。
不耕起汎用播種機は、水稲作では直播による省力化が期待でき、さらに麦、大豆作に汎用利用することで農機具費を縮減し、担い手の規模拡大に役立つ。担当機関は独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)中央農業研究センター、愛知県農業総合試験場。
大豆の安定多収生産<300A技術>は、水田作大豆の安定的な収穫のポイントとなる湿害回避等を、土壌条件に応じた適切な耕起・播種により、効果的におこなうための技術。10a当たり300kgの高収量で高品質な大豆生産が期待できる。担当機関は農研機構水田輪作研究チーム。
超低コスト耐候性ハウスは、新部材を使った新工法でハウスの設置コストを4割削減し、風速50m/sに耐えられる。担当機関は農研機構野菜茶業研究所。
飼料自給率の向上に向けた技術として、「稲発酵粗飼料を全期間給与した肉用牛肥育」が選定された。輸入乾草に代えて稲発酵粗飼料を給与し、慣行の肥育と同等の増体とともに、肉色の退化が抑制される。飼料自給率の向上と水田の有効利用が期待できる。担当機関は農研機構畜産草地研究所、同東北農業研究センター。
中山間地域等の振興に向けた技術として、「イノシシ、サルの侵入防止効果の高い防護柵」が選定された。忍び返し(金網の折り返し)をつけたイノシシの防護柵と、電気ショックを与えてサルが登りにくくした電気柵を設置する。担当機関は農研機構近畿中国四国農業研究センター、京都大学霊長類研究所。
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