農水省は、4月18日に、今年1月13日から2月1日にかけて宮崎県3農場、岡山県1農場で発生した高病原性鳥インフルエンザの感染経路について検討するため、家きん疾病小委員会と高病原性鳥インフルエンザ感染経路究明チーム検討会の合同会議を開催し、感染経路に関する中間とりまとめを行った。
これによると、発生農場から分離されたウイルスは、すべて近縁で、中国・モンゴル・韓国と同じ系統で、インドネシア・タイ・ベトナムとは異なる。また、宮崎県で発生が確認される前の1月4日に熊本県で衰弱死した野生のクマタカから分離されたウイルスは、宮崎県などで分離されたウイルスと近縁であることが確認された。
そして▽短期間に広範囲で近縁なウイルスによって発生したこと▽海外の発生地域からの家きん類の輸入が停止していること▽発生農場と海外発生地域との疫学関連が確認されていないこと▽小型生物を捕食するクマタカからウイルスが分離されたこと、などから、「感染経路の特定はできないが海外で野鳥からウイルスが分離されていること」から「野鳥によるウイルスの持ち込みが想定される」とした。
また、鶏舎への進入経路については、▽3農場で鶏舎内の一部で限局的に死亡鶏が確認されたこと▽防鳥ネットや金網に隙間や破損があったこと▽鶏舎内で野生生物の存在が確認されたことから、「野生生物(ネズミ、野鳥など)によるウイルスの持ち込みが想定される」としている。
今後、感染経路について総合的に検討し、夏をめどに最終報告書をまとめる予定となっているが、農場における今後の発生を予防するために、▽農場周辺のフェンスや鶏舎の防鳥ネットなど、鶏舎施設の保守・点検▽人・物品・車両や野生生物による伝播の可能性を踏まえた農場・鶏舎の消毒などについて、防疫指針の見直しを行うなど、具体的できめ細かな指導など万全を期すことが重要だとしている。
今回の経過は、18年11月に韓国で発生が確認された後、19年1月13日から2月1日にかけて▽宮崎県清武町(肉用種・約1万2000羽・3鶏舎)▽宮崎県日向市(肉用種・約5万3000羽・5鶏舎)▽岡山県高梁市(採卵鶏・約1万2000羽・10鶏舎)▽宮崎県新富町(採卵鶏・約9万3000羽・1鶏舎)で発生。発生農場では殺処分され、必要な防疫措置は実施した。発生農場を中心に半径10km範囲で移動制限区域を設け、養鶏場・愛玩鳥の検査を実施し、すべて陰性で続発もなかったので、3月1日にすべての移動制限が解除された。
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