松岡農相は4月24日の会見でジョハンズ米国農務長官との間で対日輸出施設の査察受け入れなどに合意したことを明らかにした。
昨年7月の米国産牛肉輸入の再々開で合意した際、6か月間は対日輸出プログラムの実施状況の検証期間とし、その間に対日輸出施設への査察を行うこととしていた。6か月の検証期間の終了期限は今年1月27日だったが、査察は昨年末に一部施設に対して行われたのみで、その後査察は行われていない。そのため査察が終了しなければ検証期間の終了とはしない、という双方での取り決めをもとに米側に査察の実施を求めてきた。
今回はこの第2回の査察実施に合意したもので、今後、査察の結果、対日輸出プログラムが守られていることが確認された施設からの輸入牛肉については、日本での「全箱検査」をしないことも合意した
。「全箱検査」は昨年7月の輸入再開にあたって、輸入業者が輸入した製品の全箱を開けて対日輸出品として適正かどうかを念のためにチェックしていたもの。当面の措置とされていた。
松岡農相とジョハンズ米国農務長官の電話会談は19日夜と20日朝に行われていた。大臣間では大筋合意ができていたというが、事務レベルでの確認作業が残ったため24日の公表になったと松岡農相は説明した。
電話会談でジョハンズ長官は松岡農相に対してOIE(国際獣疫事務局)の総会で米国のBSEステータスが正式に決定した場合は、それを受けて国際基準に則した貿易条件に早急に移行するよう改めて要請した。
OIEの科学委員会は2月に米国のBSEステータス(リスクの程度)評価を「管理されたリスク」とする案を示しており長官の発言はこの正式決定を念頭においたもの。OIEでは各国のBSEステータスについて、リスクの低い順に「無視できるリスク」、「管理されたリスク」、「リスクは不明」の3段階で評価している。
一方、日本はOIEのBSEステータス評価が直ちに輸入条件の変更につながるものではなく、輸入条件はあくまで食品安全委員会による科学的な評価に基づくことに変わりがないとしている。松岡農相もジョハンズ長官の要請に対し、かりにOIE総会で正式決定し米側からそれをもとにした輸入条件の緩和が求めれても「最新の科学的知見に基づき国内での必要な手続きを取る」ことを表明。会見では「食品安全委員会での手続きを行うということ」と説明した。
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