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競合する食品小売会社が呼びかけ「神奈川・食育をすすめる会」を結成
JA全農も参加 神出常務が理事に


満員となったパネルディスカッション会場
満員となったパネルディスカッション会場

◆会長に中村丁次県立保健福祉大学部長

就任の挨拶をする中村丁次会長
就任の挨拶をする中村丁次会長
 神奈川県内で食品を販売する生協のコープかながわと食品スーパーの相鉄ローゼン(株)、富士シティオ(株)は、「県民の食生活に一番近いところで食品を扱う事業者として、食育基本法で提起している食育課題を積極的に受け止め…県民運動として『神奈川県民の食育』を推進する社会的責任を果たしていく」(発足趣旨)ため食品事業者などに呼びかけて、「食育の日」の6月1日、「神奈川・食育をすすめる会」を発足させた。個々の企業が食育に取組む例はあるが、競合する企業が協働して取組むのは全国でも初めて。
 この会には、3者と食材や食品などで取り引きのある食品関連会社や団体も加入。JA全農も加入し、神出元一常務が同会の理事に、指田和人大消費地販売推進部長が運営委員に選出された。
 発会式では、店頭などで一斉食育キャンペーンを行うことや活動交流会を実施し事例を共有化するなどの事業計画を承認。会長に神奈川県立保健福祉大学の中村丁次保健福祉学部長を、副会長に春日徹夫相鉄ローゼン社長、菊池淳司富士シティオ社長、小林勉コープかながわ理事長の3氏を選任した。発会式には、松沢成文神奈川県知事もかけつけ祝辞と激励の挨拶をした。

◆事業目的を乗り越えた結集が未来に繋がる

理事に選任された神出JA全農常務
理事に選任された神出JA全農常務

 神出全農常務は、「今回の食育をすすめる会の特徴は『神奈川の小売業者・生協』が自らすすんで売り場を提供し、消費者の食と健康の問題に真摯に取り組もうとしていること。食育の取り組みは、国や県、市町村、NPOなどが呼びかけとなって市民レベルの運動を起こすことが多い。しかしながら、今回メーカー、卸業、小売業が一体となって神奈川の消費者に食育を訴えていくことは、食に携わる企業が具体的な展開を消費者のもっとも近くで実行することになり、今までにない意義がある。
 各企業がそれぞれの事業目的を乗り越え結集することは、明日の健康で安全な未来(医療費の削減、食の安全安心確保など)に繋がる」と発足の意義を本紙に語った。

◆延べ1億3000万人が来店する売場を舞台に

 発会式後、「お店の『売場』は食育の舞台になれるか?」をテーマに発会記念のパネルディスカッションが開催されたが、主催者の予想を上回る250名が参加。関心の高さがうかがわれた。
 中村丁次会長をコーディネーターに、小売業者として、生協連合会ユーコープ事業連合の鈴木康夫かながわ店舗統括部長、相鉄ローゼンの内藤明彦営業企画部統括マネージャー、富士シティオの高橋昭一営業企画部長が出席。また食品卸事業として、国分(株)の千木良治首都圏第二支社副部長兼第三支店長、(株)菱食の原正弘流通開発部長兼ネット事業推進室長もパネリストとなり、これまでの各社の食育の取組み事例とこれからの活動に対する抱負などを語った。
 中村会長は「日ごろライバル関係にある企業が県民のために一肌ぬごうということに感銘を受け、会長を引き受けた」と語った。相鉄ローゼンが57店舗で約5000万人来店、フジスーパーなど富士シティオ関係が51店舗で約4800万人、コープかながわが121店舗で約3800万人、合わせて229店舗で延べ1億3000万人以上が来店している。中村会長は「これは大事な場であり、『売場は食育の舞台になる』。食材の提供だけではなく、それに付随する正しい情報を積極的に提供していく必要がある」と強調した。

(2007.6.6)

 

 

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