農林年金は6月22日に理事会を開催し、18年度の収支決算などを承認した。
農林年金は平成14年4月に厚生年金と統合し、共済年金の部分は厚生年金に移行し、「職域年金部分」を特例年金として給付している。18年度の特例給付金については、年金受給者が前年度に比べ4229人増えたが、年金額の高い受給者の失権や、18年4月に実施したスライド改定(−0.3%)に伴う年金額の減額などから、平均支給額が下がったため前年度に比べ4億円少ない455億円であった。一方、特例業務負担金収入は、役職員数の減少(前年度に比べ6469人)などにより、前年度より4億円少ない229億円であった。
18年度末の特例年金給付総額(A)は1兆27億円。それに対し、各団体の負担金収入総額(B)は5504億円、国庫補助(C)は120億円であり、責任準備金(A−B−C)は4403億円。責任準備金と積立金(1684億円)の差が不足責任準備金となり、2719億円である。18年度の例が示すように、特別給付金と特例業務負担金収入の差は毎年200億円を超える支払超過となっており、国債等の売却で不足分をカバーしている。この状態のまま推移すると平成26年度以降には給付金不足が予想される。
そのため、保有不動産(虎ノ門パストラル)の売却が決定され、現在第一次入札を実施している。プロポーザル方式による入札で、2年間の既存事業の継続、全従業員の雇用確保を条件に、50社からの開発プランを審査し二次入札の参加者を決定する。二次入札参加者による価格競争により、優先交渉者を9月下旬をメドに決め、年内には売買契約・資金決済を完了したいとしている。保有不動産の売却によって、2719億円と計上されている不足責任準備金の圧縮が狙いだ。
貸付事業は、前年度末貸付金残高345億円のうち期中に48億円の償還金を受入し、残り297億円を三菱UFJ信託銀行に譲渡し、18年度で事業を終了した。その他、加入記録の管理については、昭和34年1月の設立以来、対象となる農林漁業団体から出された届出に基づき一元的な記録管理を行うと同時に、社会保険庁の受け入れ態勢の整備に合わせて順次記録を移管しているため、現在問題となっている記入漏れ等の事態は起こっていない。
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