WTO(世界貿易機関)のファルコナー農業交渉議長とステファンソンNAMA(非農産品)議長は連名で7月5日、各国大使に今後の交渉スケジュールを示した。6日の定例会見で赤城農相が明らかにした。
両議長は書簡で7月中旬に今後の議論のたたき台となる文書を提示し7月23日からの週に加盟国による予備的な議論を行う方針を示した。その後、8月は各国内で検討し、9月3日から本格的な交渉を再開、「適当な時期」にモダリティ(各国に適用される共通ルール)案として改訂版文書を提示するという。
赤城農相は今週訪欧してラミーWTO事務局長やファルコナー農業交渉と会談し、日本とG10の主張が文書に盛り込まれるよう働きかける方向で調整をしている。
赤城農相は「多国間プロセスに積極的に参加していくことが大事。バランスのとれた内容が交渉の成果として得られるよう努力していく」と語った。
また、5日には小林事務次官が会見でEUの新提案の内容を明らかにした。
EUの新提案は6月29日付けでWTO事務局に提出されたもので、重要品目の関税割当(TRQ)の拡大に関する提案。基本的な考えは、品目ごとの輸入量をもとに関税割当拡大幅が決定されるという内容で、日本の小麦のように現行の輸入量が多い品目については、拡大幅が圧縮される方式を示した。
具体的な数値は示されていないが、考え方自体はG10がこれまでに提案してきたものを採用しており「EUとG10との折衷案でわが国としては基本的に歓迎できる」と小林次官は述べたほか「EUの考え方がG10に近づいていることは歓迎すべきであると考えている。EU、他のG10諸国と重要品目の取り扱いなどに関し、お互いの立場の調整、連携は続けていきたい」とG10・EUの共同提案の提出に向けて努力を続けていく考えを示した。
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