JAグループは、JAの総合ポイント制度導入に向け全中を中心とした全国機関で協議の場を持ち、今後、システム開発などを検討していく。
総合ポイント制度は組合員・利用者がJAの各種事業を利用した際にポイントを付与し、それをJAの購買品と交換できるようにするなど、組合員加入メリットとしても活用することができる。
第24回JA全国大会決議では「連合組織間・事業間連携の実現」というテーマのなかで、総合事業を営むJAの特性を活かすものとして全中が関係全国機関とともに同制度の導入について検討していくこととされている。
全中はすでに総合ポイント制度を導入しているJAなども委員とした研究会で議論を重ね報告書を提出、7月始めには東京・大手町のJAビルで県段階の職員に向けてこれまでの検討状況や今後の取り組みについての説明会を開いた。
◆魅力ある事業が前提
研究会の報告書は、先進導入JAの共通点として、総合ポイント制度はあくまで補助的な手段であり、組合員加入促進をはかるには魅力ある事業・活動が前提としていることや、明確な事業戦略があって、それに基づく情報戦略の一環として位置づけていることをを強調している。いわば総合ポイント制度は組合員加入促進などJAの事業基盤強化にとって決して「万能なものではない」(JA全中)ことを改めて指摘したものだ。
実際に総合ポイント制度の仕組みは、JAの戦略によって異なり、たとえば、ポイント付与を正組合員限定としているJAはその目的を正組合員の複数化としていたり、一方では組合員家庭がJAをどう利用しているのかを把握し事業利用を促進するために広くポイントを付与する仕組みとしているJAなどもある。JAが運営する購買店などへの来店ポイントを付与するのもその例だ。また、さまざまな事業で利用奨励のために行われている粗品提供などを見直して、一括して総合ポイント制度に組み替えコスト削減につなげる面もある。
ただ、いずれも先進事例ではJAの事業戦略をきちんと描いたうえで、組合員・利用者情報の活用の一環として重視しているという。
◆不可欠な総合データベース
総合ポイント制度を導入するには、JAの各事業に利用状況を個人単位、さらに家族単位で名寄せをして総合的に情報が活用できるような利用者総合データベースが不可欠となる。
一方、そうした利用者総合データベースは、今後の課題となっている農家経営の管理・支援システムやJAの渉外支援システムへの活用も見込める。言い換えれば、総合ポイント制度はこの利用者総合データベースのひとつのアプリケーション(応用編)として位置づけられており、その点を報告書では農家経営支援システムなどとの関連を整理して開発を進めていくべきことを強調している。
また、経営不振JAでの総合ポイント制度の導入は一定の収支・財務を達成したのちの課題とすべきことや、赤字部門でのポイント付与については、経済事業改革の財務目標等に照らして収支改善に資する仕組みとすべきことも指摘されている。
今後、総合ポイント制度の導入には、前述のように利用者総合データベースと総合ポイント制システムの2つのシステムの開発が必要になる。
全国機関による全国標準版利用者総合データベースの開発の検討にあたっては、
利用者総合データベースがつくられていない県・JAを対象に意向を把握しながら総合ポイントシステムの稼働に耐えられる最低限度の機能確保を優先して進める。ただし開発コストの観点から既存の県域システムのノウハウなどを評価して購入することも視野に入れて検討を進めるという。
また、総合ポイント制システムについても同様の考えで先進導入県・JAのシステムを評価し、全国的に普及できると判断した場合はシステム購入も含めて検討していく。
この制度をJAが導入する場合には、基本的な仕組みは共通であっても、報告書が指摘するようにJAの事業戦略に基づく狙いに応じて制度設計をすることが求められる。たとえば、JAによっては直売所の利用者の購入にポイントを付与し、ポイントの一部を地域農業・環境保全のために還元するという仕組み検討するなど地域農業貢献への参加とJAのファンづくりを視野に入れているところもある。
また、総合ポイント制度の適用範囲をJAが連合会の協同会社に委託した購買事業利用にまで広げることなども検討課題になる。
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