JA全中が(社)日本農業法人協会の会員を対象にした担い手アンケート調査によると、JAグループに対して販売や資金面の支援、情報提供などへの期待が高いが、一方では購買・販売事業のJA利用率は低下傾向にあることも示された。
全中では第24回JA全国大会決議で決めた担い手のニーズに応える個別事業対応や、農業経営管理支援を一層強化していく必要があるとしている。
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アンケートは今年4月から5月にかけて実施し434法人から回答があった(回答率25.6%)。
法人の経営形態は有限会社が68%ともっとも多い。ただ株式会社が徐々に増え16年度調査の5%から今回(19年度)は10%となっている。経営の中核は「農業生産と販売」と回答した法人が7割を占めているが、その他の3割は「加工販売」(49%)、「直売所経営」(33%)、「集荷販売」(27%)などを中核としていた。農業生産法人にも経営多角化の動きがみられる。
回答した法人の9割がJAの組合員となっており、地域農業振興に対するJAへの期待では、「資金面での支援」(44%)、「市場販売以外の販売ルート構築」(34%)、「法人経営体の育成」(31%)、「地産地消など地域中心の販売」(30%)などが上位だった。
ただ、JAを通した販売は「減っている」が22%で「増えている」が10%となっている。一方、法人の売り上げ高は「増えている」が35%で「減っている」が21%だった。全体的には売り上げを伸ばしている状況のなかでJA利用率が低下していることが示された。また、JAとの販売取引がない法人も35%あった。
生産資材購買事業についての評価では、品質や配送面では競合業者に比べて「勝っている」との回答がどの品目でも多いものの、価格、推進活動、情報提供、土日対応では評価が低く「法人の大型化とともにJAの経済事業は苦戦している」(全中)ようだ。
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今年度のアンケートでは新たに全農の「新生プラン」を中心とした担い手対応への評価を聞いた。
新生プランについて「知っている」と回答した法人は24%にとどまり、現場ではまだ十分に認知されていない。
ただ、新生プランに盛り込まれた担い手対応についての期待は高い。「大変期待している」、「期待している」を合わせた割合は「ニーズに対応した情報提供」、「農機などのリース事業」(ともに71%)、「共販以外の販売支援・提案」、「肥料満車直行、農薬大型規格などの低コスト支援」(ともに69%)、「専任担当者による訪問相談活動」(59%)などの結果が示された(表)。
しかしながら、管内JAが法人に対して担い手対応を強化していることを感じているかという質問では「感じない」が54%を占め、また、JAや連合会の専任担当者による訪問活動など接点強化についても「感じない」が67%に達している。
もちろんJAが担い手対応を強化していると感じている法人も27%程度あることから、JAによって取り組みに差が出ていることもうかがえるが、全体としては訪問活動などを通じ個々の経営体のニーズに即した「個別事業対応が実感されるよう取り組みのスピードを上げていく」ことが求められている。 |