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遠藤武彦
(えんどう・たけひこ)
昭和13年生まれ。山形県出身。68歳。中大文卒。衆議院議員当選6回。 |
8月27日に発足した安倍改造内閣の遠藤武彦新農相は同日夜の初登庁後に就任記者会見を行った。
当面の農政課題として大詰めを迎えるWTO農業交渉や、交渉が始まった日豪EPA問題のほか、食の安全や森林整備なども上げ「重大な責務を負うことになる。しっかり取り組んでいく」と話した。
とくに参院選挙で民主党が現在の品目横断的経営安定対策について小規模農家切り捨てと批判、与党が惨敗したことを念頭に「小農や兼業農家を担い手からはずすことは全然考えていない」と強調、3割を超す減反を実施してきたのも「兼業に所得を求めたから。存在は大きく農業の担い手の一翼を担ってきた」と重視する考えを示した。ただし、国際化が進展するなかで「競争に耐える農業をつくりあげ、農業・農村の活性化につなげていかなければならない」として、集落営農などにさまざまな形で参加し、農地利用の面的集積をはかっていくことが重要だと、品目横断対策など現行の農政改革に理解を求めた。
そのうえで民主党の戸別所得補償政策案については「あまねく補償すれば取り組みやすい米に集中していくのではないか。生産調整は可能なのか。生産を助長することはWTO交渉でも批判を受け、膨大な税金投入は難しく国民の理解を得られるのか」と批判した。
また、自給率向上策については、具体策には触れなかったがカロリーベースで40%、穀物自給率で27%などの数字をあげ「これで自給といえるのかどうか。食料依存率に変えていかなけければならない。そのほうが外国にもわかりやすい。食料は国家の存立に関わること。国家的戦略として考えなければならない」と持論を展開した。
農協組織と行政の関わりついての質問には「組合員の方が任意でつくったもの。役所がああしろ、こうしろというものではない。構成する組合員が真に自分たちのためになる組織として盛り上げていくのが筋」と述べた。
最近の農政改革のキーワードになっている攻めの農政や輸出促進などについて、遠藤新大臣は会見で自ら切り出すことはなかった。その点について問われると「輸出を疑問視するものではない。日本の農産物は非常に優れていて、海外では寿司ブームだ。ただ、現実には地方の農業者のなかに、攻めの農政? 何言っているんだ?という本音もある。そこの乖離も承知したうえで施策を考えていかなければならない」と強調した。
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