農業協同組合新聞 JACOM
   
農政.農協ニュース
「赤福餅」不適正表示に農水省が改善指導 −「まき直し」34年続ける
(10/12)

 創業300年の餅菓子の老舗叶ヤ福(本社:三重県伊勢市 濱田典保代表取締役社長)が同社の商品「赤福餅」に不適正表示をしていたことが農水省の調べでわかり、農水省は10月12日、赤福に対しJAS法(農林物資の規格化および品質表示の適正化に関する法律)にもとづき、改善指導に当たる「指示」を行った。「消費者110番」への通報がきっかけだった。
 若林農水大臣は12日の会見で「信頼の高い老舗のメーカーがこうした消費者を裏切る行為をすることは、社会的に大変重大なこと」と遺憾の意を表明した。
 濱田社長は12日午前、東海農政局で「指示」書を受け取った際、「真摯に受け止める」と答えた。
 同社は、本社工場の製造ラインで包装された赤福餅(製造、包装して、製造年月日・消費期限を表示したもの)の出荷残を直接冷凍庫に入れ、あるいはいったん各販売店舗に配送後、受注されずに配送車に残ったものを本社工場に持ち帰って冷凍庫に入れ、その後の出荷の際、解凍、再包装し、この再包装した日を新たな製造年月日として表示し、またこの日をもとにして新たな消費期限の表示を行っていた。本社工場から大阪工場に配送した半生製品(餡、餅)を使用して大阪工場で製造した包装済み赤福餅も、同工場の冷凍庫に入れ、同様の処理をしていた。
 こうした解凍・再包装を「まき直し」と呼び、冷凍保管の期間は社内規定では最長14日間とし、健康に影響がないとしていた。同社は「日々の受注の変動に出荷を合わせて行くのに便利な方法として活用していた」という。なぜ、最初に製造したすべてのロットを包装し日付を表示したかについては、チルドシステムの製造工程では途中の操作ができないため、印字しないものは作れないという。赤福は、配送後に戻ってきた商品の冷凍は、今年1月の不二家事件を契機に自粛したことが農水省の調べでわかっている。
 冷凍品を解凍して商品として販売すること自体は違法ではないが、製造日や消費期限を付け替えることは消費者に事実を誤認させるため、禁じられている。赤福は、こうした処理を昭和48年以来34年間に渡って日常的に続けていたといい、平成16年9月1日から19年8月31日までの間では総出荷量の18%に当たる605万4459箱に不適正な表示がされていた。
 赤福はこのほかにも、加工食品品質表示基準(平成12年3月施行)により原材料表示を重量の割合の多いものから順に「砂糖、小豆、もち米」と記載するべきなのに、「小豆、もち米、砂糖」とし、最初から「基準」を守っていなかった。同社の製造規格では砂糖の使用比率は53%で一番多く使用されている。
 赤福は、指示にもとづき再発防止や社内でのコンプライアンスの徹底について講じた措置を、11月12日までに農水省に提出する義務がある。
 赤福のホームページには、「作ったその日に味わってもらうため、商品には作ったその日を表示しています」とうたい、包装紙には消費期限を製造日の翌日で表示し、「生ものですからお早めにお召し上がりください」の文字も。ホームページは12日以降、「お詫び」の挨拶が載っているだけで、閉鎖されている。赤福は13日から工場の操業を停止している。
(2007.10.15)


社団法人 農協協会
 
〒103-0013 東京都中央区日本橋人形町3-1-15 藤野ビル Tel. 03-3639-1121 Fax. 03-3639-1120 info@jacom.or.jp
Copyright ( C ) 2000-2004 Nokyokyokai All Rights Reserved. 当サイト上のすべてのコンテンツの無断転載を禁じます。