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米で緊急所得確保対策を求める −JAグループ


 JAグループは10月の全中理事会で「農政改革に関するJAグループの基本的考え方」をまとめた。「米政策」、「品目横断的経営安定対策」、「農地制度改革」など当面の課題に対する政策要求をまとめたもので、今後、組織協議を経て11月8日に予定されている全中理事会で政策提案として決定する。
 米政策では大幅に米価が下落していることから「19年産米の緊急対策」を求める。
 19年産から農業者・農業団体が主役とうたった新たな需給調整システムが導入されたが、過剰作付けは削減されず消費の減少もあって大幅な需給緩和になっている。JAグループでは来年10月末の民間在庫は36万トン(18年産持ち越し約12万トン+19年産過剰分23万トン超)にもなると見込んでいる。こうした状況のなかコメ価格センターの19年産取引価格は前年比で8%程度、第7回入札結果では60kgあたり1200円以上の下落となっている。
 米価下落に対する収入減少影響緩和対策(ナラシ対策)は生産者と国が1対3の比率で基金を造成し、基準収入からの減収分の90%を補てんする制度だ。ただ、全中の試算によるとこの制度では造成資金の範囲内で支出されることから、国の助成額は60kgあたり1000円程度とみられており、60kgあたり1000円以上下落すると満額の補てんが受けられない可能性があるとしている。
 そのため現行のナラシ対策で対応できない程度に米価が下落した場合には、集落営農を含む担い手の所得水準を確保するため、政府補てん部分の拡充など緊急対策が必要だとしている。
 また、当面の需給対策として現在70万tの政府備蓄を適正水準としている100万tを見据えて積み増すことや、販売についても抑制する方針などを早期に明示することが需給環境改善にとって必要だとしている。
 さらに集荷円滑化対策は、平年作況であれば発動されないが、要件の弾力化や機動的な対応できるような改善も必要だとの考え方を示している 。

◆非参加者の誘導策として非主食用促進を

 20年産に向けた米政策の基本的な考え方は、(1)計画生産に取り組む集落営農を含む担い手への万全の経営所得確保対策、(2)米以外の作物への転換強化対策、非主食用米の生産・供給スキームの構築と十分な支援策、(3)国の責任と役割の強化、を柱としている。
 とくに重視するのが国の役割の強化。交付金支払いと生産調整との整合性を徹底してはかることや、生産調整に対する都道府県・市町村行政の十分な役割の発揮などを求める。
 また、飼料用など非主食用米生産の主食用との所得差補てん策や、供給スキーム確立などの支援策は、穀物需要の増大に応える取り組みとなるだけでなく、生産調整非参加者を計画生産に誘導する対策ともなるなどの観点も含め、生産調整への誘導促進対策も重視する。
 一方、JAグループ自らの取り組みとしては、販売を基点とした出荷・販売方式の強化を図る必要があるとして、播種前契約・収穫前契約の拡大を加速化する必要があるとしている。そのため担い手支援と概算金方式に対応するJAの事業方式を検討し、生産者の手取り水準の最大化を追求することを課題としている 。

(2007.10.19)

 

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