農林年金受給者連盟(米澤龍治会長)は19年度の全国代表者大会を10月31日に開催し、年金の給付水準の維持などを盛り込んだ『年金・医療制度及び税制改革に関する要請』などを決議、参加者は地元選出の与党国会議員を中心に要請行動を行った。大会には全国から約300人が参加し、同要請のほか、農林年金制度対策本部(委員長:宮田勇JA全中会長)に宛てた『特例年金制度の維持等に関する要望書』も決議した。
全国の農林年金受給者は、38万1076人(19年3月末現在)、うち受給者連盟の会員数は19万4009人(18年10月1日現在)。受給者数は12年度末の33万718人から増え続けているが、支える側の各団体役職員数は12年度末の46万6979人から18年度末には41万6596人と、この6年間で約5万人減少した。現在、受給者1人を1.09人の現役で支えている。
財政状況については、給付総額1兆100億円(A)に対し、積立金1800億円(B)、各団体からの負担金収入の総額が5400億円(C)で、A−(B+C)=2900億円が財源不足となる。18年度は負担金収入が273億2300万円、給付費などを含めた支出が494億7600万円で、221億5300万円の支出超過となる。超過分は積立金を取り崩してあてているが、今後も同規模の支出超過が続くとみられ、平成26年には積立金がゼロになると予想される。
そのような事態を避けるために、2900億円の財源不足の圧縮を目的に、「虎ノ門パストラル」を約2300億円で売却することが決まったが、まだ財源不足は解消できない。
20年度には、年金法の規定によって年金の給付と負担(長期掛金等)が将来にわたって均衡を保つよう5年ごとに掛金率などを見直す「財政再計算」が実施される。20年度に行う「財政再計算」では、財源不足解消の見通しがなければ年金給付額の減額か、各団体の負担金の増額などでの対応を迫られることになる。
以上のような厳しい環境のなか、今回の大会で決議された要請はともに年金給付額の維持を訴えたもので、与党に対しては、▽高齢者年金課税の軽減、▽高齢者医療費負担の軽減を、併せて要請している。また、農林年金制度対策本部に対しては年金給付額の維持確保のため、農林漁業団体が総力をあげて取り組むことと、第24回JA全国大会で決議された新たな企業年金制度の基盤構築の実現に早急に取り組むことを要請した。
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