(財)全国農業協同組合役職員共済会は11月9日、今年度上期(4月〜9月)の仮決算を公表した。上期は、一般正味財産(JAの余剰金に相当)が、当初計画(8億円)を上回る12億円(諸準備金繰り入れ前)を計上、JA等加入団体の退職金原資積立で41億円の節税効果、など全体として順調な決算であった。
同共済会は、JA役職員の退職金財源の確保を目的に退職給付金の積み立てを行っており、職員のみを対象とした「制度」、職員と役員を対象とした「施設」の2つの仕組みを運営している。給付還元率(上期)は、「制度」が1.10%(前年度比プラス0.10%)、「施設」が1.35%(前年度と同率)。JAの加入率は、前年度末に比べ1.2ポイント増の89.0%。「制度」と「施設」100%加入県実現県(県内JAのすべてが「施設」と「制度」に両方に加入)は徳島県が新たに加わり3県、「制度」100%加入実現県は14県、「施設」100%加入県実現県は新たに群馬県が加わって5県となった。上期の退職給付金支給額は、退職者6900人、243億円で、前年同期に比べ32億円(11.6%)減少した。総資産額は5019億円で、前年度末に比べ31億円(0.6%)の減少。
資金運用は国債などの債券利息収入が主で、ハイリスク・ハイリターン型を排除すると同時に、分散投資を行いリスク分散するなど、確実で安定的な資産運用を心がけている。今後は、JAの財務基盤強化のため、退職給付債務の100%積立に取り組むことや、20年12月から始まる公益法人制度改革への対応を急ぐ。また、現「資産価格変動準備金積立5ヶ年計画」が今年度で終わるが、次期の計画については社会の動きにより早く対応するため、計画期間を3ヶ年に短縮することを考えている。
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