人間の知によって産み出された新しい発明や独創的なノウハウなど、無形の資産を「知的財産」と呼び、企業が収益を得て行くのに重要な資源となっている。米国では特許取得件数が1位の会社が9年連続で高収益を実現した例が報告されている。
また、国際的競争力上も重要で、国富の源泉になる。知的財産の重要性を受け、日本では小泉内閣時代から”知財立国”に取り組みを始め、平成14年には知的財産基本法が制定された。
農林水産分野の知的財産には(1)栽培技術・ノウハウやハウスなどの農業資材など、農作物の生産に関する特許権・実用新案、(2)農業機具の形状に関する意匠権、(3)花の色を決める遺伝子配列など植物新品種の育成に関する遺伝子特許、(4)農産物販売では商品につける地域ブランドの商標権などがある。
農水省は、知的財産の積極的、戦略的な活用が農林水産業、食品産業の国際競争力の強化や収益性の向上などに向けた重要な政策課題であると位置づけ、今年3月「農林水産省知的財産戦略」を策定し、総合的な施策を進めている。
農水省は、地域における知的財産の創造、保護、活用を更に促すため、特許や商標制度を所管し、知的財産の活用を推進する経産省との連携を強化し、両省で施策を進めるため、連携推進連絡会議を10月末に設置した。
両省が連携して取り組む主な事項は次の通り。
▽農林水産関連の知的財産の保護・活用の基盤づくり
▽諸外国における知的財産の保護強化
▽農林水産関係者に地域団体商標制度を普及
▽知的財産権制度に関する意見交換
今後、連絡会議を定期的に開催するほか、連絡会議のもとに「知的財産の保護」「諸外国における知的財産の保護強化」「知的財産権制度」に関する3つのワーキンググループを設けた。
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