農水省はこのほど、東京と海外主要6都市の食料品小売価格を比較した、内外価格差の動向調査結果を公表した。対象都市は東京、ニューヨーク、ロンドン、パリ、ジュネーブ、シンガポール、ソウルの各都市。18年11月時点で各都市の小売店舗で一般に販売されている食料品34品目を「共通食品」とし、さらに日本では一般的に販売されているが「共通食品」には含まれない食品13品目を「日本食品」として合計47品目について調べた。それぞれの対象食品は、同じ品質・規格とすることや為替レートを勘案し、公平性を保つよう配慮した。
共通食品34品目では、ニューヨーク、パリ、ジュネーブ、ソウルでは東京より割高だった。ロンドンでは東京とほぼ同水準で、シンガポールでは割安だった。調査は毎年実施しているが、前回の調査では東京より割高だったのはジュネーブ、ニューヨーク、パリ。ロンドン、パリは割安だった。ソウルは前回は調査していない。ロンドン以外は前回、今回とも同傾向だ。また、米、しょうゆなど13品目を含めた47品目の内外価格差は、全ての都市で東京より割高だった。
共通34品目で一番高かったのはジュネーブで、東京100に対し128。中でも肉類は182、魚介類は156。乳卵類は109だった。ニューヨークは120で2番目に割高。差は前回より大きく広がった。野菜類は179、穀類は159。菓子類は91。東京とほぼ同水準のロンドンは98(同83)。東京より割高なのは魚介類126、肉類118、野菜類112。割安な品目は穀類56、菓子類71など。
ニューヨークの穀物価格が割高だった背景には、今回の調査時期は昨年11月だが、昨年からアメリカのとうもろこしのバイオエタノール仕向け量急増で、収穫量の20%台になったことや、オーストラリアの干ばつによる減産や中国が穀物輸入国に転換したことなどから、とうもろこしや小麦の需給がタイトになった影響が出たものとみられる。
しかし、わが国でも政府の製粉会社への外国産麦の売渡価格が今年4月と10月合計で13%値上がりし、小麦粉使用製品が値上がりし始めたことや、世界的な畜産物、油脂類などの穀物需要の増加などにより食品の値上がりが続いており、食料自給率が先進国で最下位のわが国の食料品価格は、今後の調査でどう変化するか、注目される。
|