農業協同組合新聞 JACOM
   
農政.農協ニュース

真に力のある地域ブランドをどのように作るか −地域ブランドWG
(11/12)


 『農林水産省知的財産戦略本部』の専門家会議地域ブランドワーキンググループ(WG)の第1回会合が、11月12日に開かれた。
 同戦略本部は、高品質・高付加価値で安心・安全な農林水産物をわが国の知的財産として保護し活用することで、国際競争力強化、収益性向上などの施策を進めるため18年2月、当時の三浦一水農林水産副大臣を本部長とした全省的な取り組みとしてスタートした。
 ワーキンググループは、戦略本部の検討課題の一つである農林水産物の地域ブランド化について、農林水産業は農山漁村の地域産業の出発点、農林水産物はもっとも身近で活用しやすい地域資源、という特徴を生かし、「真に力のある地域ブランド」をどのように作るかを議論し、農林水産業を力強いものにすると同時に農山漁村の活性化に貢献することをめざしている。
 座長に土居一史一橋大学大学院国際企業戦略科教授を選任し、農林水産物・食品の地域ブランドの現状、取組課題などを話し合った。京都らしいイメージで品質の優れているものを「京のブランド産品」と認証し、ブランドシールの活用などで消費拡大を行っている(社)京のふるさと商品協会の取り組み、「神戸肉流通推進協議会」を結成して神戸ビーフの定義を定め、それに適合する肉を提供する販売店や生産者の指定を行いブランド力を高めてきた「神戸牛」の取り組みなど、今後手本とすべき事例の紹介があった。
 また、商品開発先行型か、地域の範囲で分けるのか、対象とする品目のまとまり(例:京野菜など)で分けるのかなど、地域ブランド化に取り組む場合、様々なパターンから自分達の地域に合った取り組みを選ぶことの重要性などが検討された。ワーキンググループは今後検討を重ね、来年2月に報告書をまとめる。

◆協議会と支援事業の二本立てで支援

 地域ブランド化の取組主体やそれを支援する団体・個人を組織する「食と農林水産業の地域ブランド協議会」発足に向けた発起人会が10月2日に開催され、現在、11月21日の設立総会に向け会員募集(10月末現在230団体・個人が応募)など準備が進んでいる。また、20年度からは、選定したモデル地域でブランド化を進めるためのアドバイザーの派遣、生産体制整備、品質管理の支援等を内容とした「農林水産物・食品地域ブランド化支援事業(20年度〜22年度)」を農水省は予算要求している。
 地域ブランド化の取組に関して農水省は、会員相互の情報交換の場として位置づけられる協議会と、支援事業の二本立てで進めていくこと考えている。今回開かれたワーキンググループで検討し取りまとめられる内容は、各地の地域ブランド化に向けた取組の指針としての役割が期待されてる。

 地域ブランドワーキンググループの委員名簿は以下の通り。

【委員(農林水産省知的財産戦略本部専門家会議委員)】
大木美智子(消費科学連合会会長)
金子和夫
  ((株)日本総合研究所総合研究部門新社会システム創成クラスター上席主任研究員)
座長:土居一史
滑川恵理子(サンケイリビング新聞社編集制作局編集企画部担当部長)
野村泰夫(福岡県農政部長)

【専門委員】
伊藤秀雄((有)伊豆沼農産代表取締役社長)
伊藤房雄(東北大学大学院農学研究科准教授)
尾薗春雄((社)全国木材組合連合会専務理事)
指田和人(JA全農大消費地販売推進部長)
四方平和((社)農林水産先端技術産業振興センター調査広報部長)
佃朋紀((財)魚価安定基金業務部総括)
永沼誠一(JA夕張市代表理事組合長)
長谷川潤一((社)食品需給研究センター調査研究部主任研究員)
波積真理(熊本学園大学商学部教授)

(2007.11.15)

 

社団法人 農協協会
 
〒103-0013 東京都中央区日本橋人形町3-1-15 藤野ビル Tel. 03-3639-1121 Fax. 03-3639-1120 info@jacom.or.jp
Copyright ( C ) 2000-2004 Nokyokyokai All Rights Reserved. 当サイト上のすべてのコンテンツの無断転載を禁じます。