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製造原価の高騰続き自主努力限界
−大豆加工食品4団体の会長窮状訴える


共同記者会見する4団体の会長
共同記者会見する4団体の会長

 大豆を主要原料とする豆腐、味噌、納豆、しょう油の製造業者がそれぞれ加盟している全国団体の会長が11月12日、共同記者会見を開き、大豆をはじめとする製造原価の高騰が収まらず、このままでは企業努力によるコストの吸収は限界に達したと、窮状を訴えた。共同記者会見をしたのは、日本豆腐協会・村上豊会長、全国味噌工業協同組合連合会・山本弘樹会長、全国納豆協同組合連合会・笹沼隆史会長、全国醤油工業協同組合連合会・武田興光会長の4氏。
 大豆生産国は、昨年から石油代替燃料の一部転換をバイオエタノール、バイオディーゼルに求め、作付けを大豆からトウモロコシにシフトしている。このため、「大豆相場が高騰しているだけでなく、小麦など穀物全体の国際相場が暴騰している」と指摘する。
 さらに、わが国の食品向け大豆はすべて非遺伝子組み換え(Non-GMO)大豆を使用しているが、アメリカでは2007年産は約91%が遺伝子組み換え大豆が作付けされている。このため、Non-GMO大豆は少なくなっており、高いプレミアムをつけて数量を確保しているという。
 石油、重油、石油製品も平成16年から高騰しており、燃料費、配送費、容器、包装費が数回にわたり値上がりしているという。商品に対する安心・安全にかかわる生産体制の整備や衛生施設の拡充と管理を徹底するための経費も増加している。
 大豆加工食品業界は中小零細企業が主体なうえ、豆腐、味噌などの販売の大部分は量販店を通じた販売形態のため、量販店のバイイングパワーの影響を強く受ける商品。こうした経営環境がこれ以上続けば、業界の死活問題となりかねず、今後各製造企業が商品の値上げに踏み切る場合は「是非、ご理解を」と、4人の会長は訴えた。
 大豆の食品用年間需要量は100万t程度。95%は輸入に頼り、アメリカからが70%を占める。国産大豆の生産量は全体でほぼ20万t台だが、年により作付け面積、収穫量の振れが大きく、平成14年産の27万1000tから作柄不良だった17年産の16万3000tまで幅がある。

◆豆腐用、国産大豆30万トン期待

 以前は内外価格差が大きく、外国産に傾斜していたが、外国産の高騰やNon-GMO大豆への高いプレミアムを支払っていることから国産に近づいて来た。さらに価格高騰は続きそうなことから、国産大豆の増産を強く希望している。
 豆腐組合の村上会長は、原料の安定と消費者の安全・安心への信頼確保のため、豆腐の年間大豆使用量50万tのうち、6割に当たる30万tは国産を供給してもらいたいと話していた。
 味噌業界はマルコメ(株)が11月1日、来年2月1日からのメーカー出荷価格10〜15%の引き上げを発表した。ハナマルキ(株)は11月15日、来年3月1日出荷分から約10%の引き上げを、ひかり味噌(株)も11月19日、来年2月1日出荷分から10%前後の引き上げを発表するなど、値上げが始まっている。
 しょう油は標準規模のメーカーで10%程度が予想され、豆腐、納豆はメーカーによりまちまちという。

大豆使用4業界の概要・表

(2007.11.20)

 

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