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「現場は苦しんでいる」と訴える参加者 |
政府・与党が検討する生産調整実施者に対するメリット還元や品目横断対策の抜本的見直しに向けて、JAグループの要請実現をめざす「水田農業・基本政策確立全国代表者集会」が11月27日、全国からJA役職員など約700名を集めて虎ノ門パストラルで開かれた。
宮田勇全中会長は、「米緊急対策として34万トンの政府買い上げが決定されたことから、米の価格が下げ止まりつつあると聞いている。今後検討される19年度補正予算や具体的な政策見直しにおいて、米価下落阻止という我々の切実な要求が反映されることを強く求めていきたい。生産調整を実践する集落営農の担い手に対して万全な所得対策を講じること、さらに、品目横断対策については、担い手および集落営農要件の緩和が必要だ」と、生産者所得の安定確保に向けた取り組みを全力で進めようと語った。
廣瀬竹造全中副会長が、「生産調整を行った者に具体的なメリットが与えられ、未実施者の地域振興作物への転換を支援するための財源確保が必要だ」として、政府・与党に対し▽生産調整のメリットが確実に実感できる『生産調整実施者メリットの抜本的拡充・強化』。▽米価の大幅下落に際して、政府の補てん対策を追加することなどを盛り込んだ『生産調整を実施する担い手の万全な所得対策の確立』。▽品目横断的経営安定対策の担い手・集落営農要件の見直しなどを含んだ『地域における多様な担い手を対象とする対策』。▽『麦等の単収向上を実現している地域への支援対策』などを内容とする、政府・与党に対する重点要請を行い、満場の拍手で確認された。
自民党総合農政調査会保利耕輔会長は、「19年産米の一部政府買い上げが決まったが、これはあくまでも緊急避難的措置だ。20年度以降、計画生産が確実に実施される保障はない。規制緩和の世の中の流れと逆行するかもしれないが、みんなに生産調整を守ってもらうためには、ある程度の規制も考えなくてはならない」と語り、生産調整非協力者には何らかの法的措置が必要だとの認識を示した。
その後、登壇者からは「農業政策を地方振興策の一つと位置づけてほしい」、「現場の実態とかけ離れ、制度だけが一人歩きしている」など、米価下落の影響を受けて苦しんでいる生産現場の実情が報告された。日本農業の基本となる水田農業を守るためには、予算措置や計画生産を着実に実施する仕組みなど、ある程度国の関与は必要ではないかとの保利耕輔会長の発言に関して、生産者自らが決めるとされた新制度での生産調整にも国や市町村などの関与を期待する声があった。 |