農水省は、品目横断的経営安定対策について生産者、生産者団体、地方自治体などから農水省幹部が意見を聞く「地方キャラバン隊」を8月29日から10月5日まで、東京、神奈川、大阪を除く全国44道府県に出したが、総合食料局は、合わせて聞いた食料自給率向上についての意見への回答を「対応状況」としてまとめ、11月26日公表した。
平成18年度のわが国の食料自給率はカロリーベースで39%とこれまでより1%低下し、向上に転じる傾向が見られない状況だ。自給率向上への取り組みを現場段階で強力に推進するため、自給率向上に関する消費面、生産面から見た今後の取り組み課題について意見を聞いたもの。
重点テーマとした米の消費拡大、飼料作物の生産拡大、野菜の生産拡大、油脂類の過剰摂取の抑制(食育)の4項目を中心とした自給率向上のための具体化の手段について、さまざまな意見が出たという。
また、現場では加工用野菜への生産の取り組みや食育の推進など、国の重点推進事項を先取りした独自の取り組みが進んでいる事例が紹介され、農水省はこうした取り組みを今後広めて行く必要があると評価している。
意見に対する対応状況については、地方農政局を通じて発言者に文書で説明するほか、農水省ホームページでも公表する。
地方キャラバンでの主な意見は▽
農水省の対応状況は◎
(米の消費拡大)
▽学校給食を弁当に変えれば、米の消費量も増えるのではないか。パン給食を米を中心とした給食にならないか。
◎家庭での食習慣や経済的、社会的環境が多様化しているなかで、弁当に切り替えることが必ずしも米の消費拡大にはつながらない。米飯学校給食の回数は、全国平均で目標の「週3回」に対し週2.9回(平成17年度)。都道府県での格差が大きいので、文科省と連携して実施回数の増加を推進している。
(飼料自給率の向上)
▽飼料用米、飼料作物の作付け拡大の支援や技術開発が必要だ。
◎自給飼料の増産については、飼料生産基盤や機械・施設等の整備、稲発酵粗飼料(稲WCS)の生産拡大、国産稲わらの利用促進、放牧の推進などの取り組みを支援している。飼料米は輸入とうもろこしとの価格差が大きいので、生産コストの削減のため超多収品種の開発や省力、低コストでの栽培技術開発を進めている。
(野菜の生産拡大)
▽大都市を中心とした野菜の消費拡大の促進が必要だ。
◎都市部を中心に栄養、機能性などについて量販店での情報提供や、外食、中食での野菜利用増大に取り組んでいる。
▽消費地から遠い野菜指定産地の流通経費に、何らかの補助が必要だ。
◎国費での流通経費支援は無理だが、「強い農業づくり交付金」などにより、流通コスト削減のための通い容器の導入、物流拠点の整備、流通過程での鮮度保持のため予冷施設や冷蔵コンテナの導入などに支援をしている。
(食育の推進)
▽自給率向上のためには食育を充実すべきだ。
◎「食料自給率向上協議会」では、重点事項としている。「食事バランスガイド」を活用した日本型食生活の実践の促進や、教育ファームなど農林漁業体験活動の推進を通じた食、農に関する国民の理解の増進を図っている。
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