政府は12月24日に20年度予算案を閣議決定した。このうち農林水産予算総額は2兆6370億円で19年度予算に比べて2.1%の減額となった。
予算額の内訳は、公共事業費が一般公共事業費1兆882億円、災害復旧等事業費193億円の計1兆1074億円。非公共事業費が一般事業費6714億円、食料安定供給関係費8582億円の計1兆5296億円となっている。
農政改革3対策関連のうち、品目横断的経営安定対策(水田・畑作経営所得安定対策に名称を変更)は、2087億円が計上された。加入要件の見直しによって、地域水田農業ビジョンで位置づけられた担い手を市町村特認することができるようになり、高齢者や小規模農家でも集落営農への参加などによる加入への道が開かれた。
その集落営農組織について、新規事業として組織立ち上げまでの支援や相談、コンサルティング活動などを支援する集落営農総合支援事業9.5億円や、担い手経営展開リース事業7億円のほか、集落営農育成・確保緊急整備支援事業など集落営農・担い手支援対策として306億円が確保されている。
米政策改革推進対策では1963億円が計上された。需要減少や過剰作付けによる大幅な米価下落という「異常事態」となったことを受け、20年産で生産調整を確実に実行し、麦・大豆・飼料作物だけでなく、飼料用米、バイオエタノール用原料イネなどの作付けも定着させるための措置。
予算には産地づくり交付金や担い手以外の生産者の米価下落を補てんする稲作構造改革促進交付金、麦・大豆などの過去の作付け実績がない生産者でもこれらの作付けで生産調整に取り組む場合の一定額の支援を行う事業などが含まれる。
また、農地・水・環境保全向上対策交付金は302億円が確保された。
農山漁村活性化プロジェクト予算はプロジェクト支援交付金として305億円のほか、新規予算として大臣折衝で復活した鳥獣害防止総合対策事業として28億円も確保された。
そのほか大臣折衝では国産バイオ燃料の大幅な拡大に向けて「日本型バイオ燃料生産拡大対策」として79億円も確保された。
食料自給率に関する情報発信の強化策として新規の自給率戦略広報推進事業や粗飼料増産未利用資源活用促進対策事業などを含め、自給率向上のための取り組み予算として166億円が計上されている。
農地政策改革に向けた予算としては、農地情報のデータベース化の推進(106億円)、耕作放棄地解消緊急対策(728億円)、面的集積の仕組みのモデル的実施(10億円)なども計上されている。
◆現場の声聞く−若林農相
若林農相は12月22日の大臣折衝後の会見で「歳出改革が行われているなかで農林水産施策についてもきちんとした見直しを行い、米政策改革や水田・畑作経営所得安定対策など改革推進に必要な予算に加え、バイオ関連など資源・環境対策、農山漁村活性化を推進することが可能になる充実した予算編成ができた」と話した。
とくに水田・畑作経営所得安定対策(品目横断対策)の見直しについては、「小農、高齢者切り捨てという誤解に基づく批判が聞こえてきた。現場はどうかしっかり聞き吸い上げて事項ごとに答えを出そうと、生産現場が直面している問題にまともに取り組み理解を得、元気、意欲が出る施策でなければいけないと力を入れた」などと政策見直しと今回の予算編成を振り返った。
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