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担い手対応の具体的な実践がこれから課題
「全農改革の進捗状況」を農水省に報告 (8/1)


 JA全農は8月1日、農水省に全農改革(業務改善計画)の6月末現在の進捗状況を報告した。これは3か月ごとに定期的に行われるものだが、参院選挙があったために、農水省の要請がありこの日の報告となった。
 これによると、「担い手への対応強化」では、19年度は価格対策14億円、サービス・インフラ対策15億円、法人出資3億円、合計32億円を計画。体制整備としては、3月末までに全県本部に担い手対応部署を設置し、165名を配置した。JAの担い手対応担当者は30県本部258JAで1287名が配置されている。また、担い手対応支援システムについては、県連・県JAを含む285JA(うち県本部管内280JA)と利用契約を締結し、登録された担い手数は34県9万8436件(うち県本部は31県8万5535件)となっている(目標は21年度末15万件)。
 今後の取組みとしては、JAの担い手対応選任者との一体的な事業提案・クレーム対応などの訪問活動を通じた担い手農家との取引き拡大などをあげている。
 「生産者・組合員の手取り最大化」では、流通コスト削減のため、19年産米の運賃削減の取組みとして、「『見積り合わせ』による市場連動型運賃決定方式」を基本とする取組みを推進する。園芸販売・畜産販売事業でも、相見積りや運賃水準の実勢調査などを通じた業者選定・運賃水準の決定などに引き続き取組んでいく。
 物流コスト100億削減「生産者・組合員に信頼される価格の確立」のために取組まれている肥料農薬・生産資材の手数料引下げは、18年度は17億円が実施されたが、19年度についても累計27億円の削減を計画。20年度以降も累計36億円を実施する計画となっている。また、本所・県本部間の手数料一本化についてもこの4月から実施されている。
 また、農業機械のコスト低減の取組みであるJAグループ独自型式の第一段として3月に上市された「多条刈コンバイン」(本格5条刈クラスの実勢市場価格対比で概ね20%安)は、6月末時点で103台が受注された。さらに第二段として大規模果樹栽培担い手を主たる対象とする「高性能・高品質スピードスプレーヤ」(従来同等クラス対比20%安)を6月に上市した。
 「JA経済事業収支確立の支援」としては、農水省も注目している物流改革の取組みとして、18年度は32県域131JAが参加して89か所の広域拠点を設置し、約100億円の物流コストを削減した。これは1JA当たり約8000万円、平均3.8%の物流コスト削減を実現したことになるという。
 「全農グループ経営の一層の合理化」では、子会社の要員削減について、3月に策定した「会社別要員削減目標値」に基づいて各子会社と協議を実施。23年3月までに2360名削減することになった。これはまだ確定値ではなく今後も協議を継続するとしている。
 「子会社の再編合理化」については、21年3月末見込み会社数が115(前回報告では118)となり、改善計画の目標を達成する目途がついた。
 こうした報告に対して、農水省は、流通コスト削減や合理化面では進展しているが、担い手対策が現場の担い手までまだ浸透していないのではないかと指摘。宮下全農理事長も「現場に浸透させ、具体的な事例づくりが課題」だと考えていると応えたという。

(2007.8.2)

 

 

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