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米粉の利用拡大に期待 ―農水省の検討会


 わが国の米の消費量は年間9万tづつ減り続けている。農水省総合食料局が調べた米(精米)の1人1か月当たり消費量は平成18年度で約4.8kgだった。12か月分では約58kgだ。前年同月対比では平成18年7月から16か月連続で減少が続いている。
 米は、主食としてだけではなく、米粉としても活用されている。今後の米の消費量を下支えするためにも米粉を食品原料の一部として積極的に取り入れて行くことが期待される。農水省総合食料局に設置されている<「販売」を軸とした米システムのあり方に関する検討会>は、このような観点から米粉の需要拡大をテーマに検討した。
 これまでの米の加工用途は清酒、味噌・しょう油、あられ・せんべいなどの米菓、団子などが主体だった。パン、麺、ケーキなどさまざまな食品への利用が期待されてはいるが、今のところ、新たな用途拡大による需要量増加には至っていない。平成18年の小麦粉生産量に対する米粉生産量は2%とごくわずか。小麦粉生産量は461万6000t、米粉生産量は10万3000t。米粉入りパンは学校給食への導入が促進されており、全体の市場規模は大きくないが、18年には急速に増えた。パン用の原料米粉の平成 18年の使用量は6000tで、その前の2年間はそれぞれ3000t。倍のペ−スで伸びたことになる。米粉パンの学校給食導入校数は全国で8000校。毎年約1.5倍で校数が増えている。米粉入りのパンの種類はロールパン、食パン、などだ。
 めんでは、米粉100%のめんもある。菓子では、洋菓子に向く薄力粉の代替としての米粉、米粉100%のケーキなど。玄米粉のように、ごはん、飲料、スープに混ぜることを想定した商品もある。
 米粉製品は大手業者の取り組みのほかに、地産地消で取り組まれることが多く、今後は「各地の事例を紹介して全国的な広がりを持たせることも必要」(農水省)という。

◆米粉利用で自給率向上も

 米粉の需要拡大による効果は、年々減少する米消費に起因する需給のアンバランスに歯止めをかけ、生産調整規模の拡大を防ぐことや、国産農産物の消費拡大による自給率の向上などが期待される。1人が1日に食べる食事のうち、小麦粉食品7g(ロールパン1個の5分の1程度)を国産米の米粉食品と代替すれば、食料自給率は1%上昇すると農水省は試算している。
 小麦の政府売渡価格が昨年4月、10月と連続して合計11.3%上がり、今年4月にもさらに20〜30%と大幅に上がると見込まれるため、小麦の二次加工業者(小麦粉使用メーカー)には、米粉が安価で供給されるなら今後使用したいとする意向が、農水省が調査をした29社中11社から示されたという。
 製粉技術も進んだ。米は外周部が固く、粉にすると荒くなるため、小麦粉並の微粉末にするのが困難だった。最近では渦巻き状のジェット気流を利用して、粒子どうしを衝突させて超微粒子に粉砕する製粉方法が開発された。また、アルファー化米粉や高圧加工発芽玄米粉などの高付加価値米粉の製造が可能になった。
 関係業界も取り組みを進めており、全日本パン協同組合連合会、全国穀類工業協同組合、全日本菓子協会、全国製麺協同組合連合会などの業界団体が平成17年2月に米粉食品普及推進会議(高木賢会長)を設立し、地方協議会とともに取り組み事例の紹介、料理講習会の開催、レシピの配布など、普及推進活動を行っている。
 米粉食品については、各用途とも購入意向のある人は5割を超えており、農水省は今後の需要拡大の可能性があると見ている。三菱総研の調査では、米粉パンの購入経験があるのは20%、購入意向があるのは66%。米紛菓子は購入経験有りが11%、購入意向有りが62%。米粉めん、スープは購入経験有りが19%、購入意向有りが58%だった。
 街のケーキ店では米粉使用が全国的に普及しているなど、米粉使用の最近の成功事例がいくつかある。外食レストランでは、ジョナサンの全店舗でメニュー化されている。また、江崎グリコのプリッツでは"しっとり、もちもち"、"ガリッと堅い"などの米粉の特性が生かされているという。
 しかし、課題も多い。メーカー側は今後の米粉の供給に対し▽原料米のコストダウン▽高価格をカバーできるセールスポイントの確立▽米紛の栄養価を強化するため、玄米、米ぬかを利用する▽普及活動を継続して行う、などを要望している。また、「家庭での普及には米紛パンを製造できるホームベーカリーや、小麦粉と米紛のミックス粉の開発がもっと進むことが必要だ」(新潟県農業総研・中村穀類食品科長)という指摘もある。

米粉の種類と用途・表

(2008.1.8)

 

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