消費・賞味期限や原産地表示の偽装などの不祥事が相次いで発生したことを受けて、農水省は食品企業や団体に対し関係法令の遵守や倫理の保持について支援、指導を強化するため、昨年10月末に省内に「食品の信頼確保・向上対策推進本部」(本部長:岩永浩美農水副大臣)を設置した。
推進本部は、食品業界のコンプライアンスの徹底をはかるための「食品企業コンプライアンス総合推進チーム」と食品表示の適正化により消費者の信頼確保をはかるための「食品表示総合推進チーム」の2チームで構成し検討を進めてきたが、対策の中味がこのほどまとまった。
コンプライアンスについては、各事業者や関係業界団体に企業行動規範となる「食品業界の信頼性向上自主行動計画」(仮称)の策定を求めることとし、行政が行動計画作りを支援するための「策定支援ガイド」を今年2月末までに作成する。1月中旬〜2月中旬に農水省が関係団体やパブリックコメント、食料・農業・農村政策審議会食品産業部会の意見を聞き、2月下旬に推進本部で決定する予定だ。
食品表示については、食品の業者間取引にも表示を義務づけるため、品質表示基準の改正と監視強化を行う。JAS法では、すべての食品について製造業者等が守るべき品質表示基準を定めている。このうち、加工食品については、最終製品の製造業者に表示義務を課せば正確な表示がされるとして、業者間の取引については表示義務の対象にしていなかった。
しかし、ミートホープが業者間取引で不正な表示を行い、消費者の信頼が大きく揺らいだ。農水省はこれを契機に、全ての加工食品に生鮮食品と同様に原料供給者との取引について表示義務を課すこととし、今年4月1日からの完全実施をめざし基準の改正などを行う。
農水省は食品表示について今後行政による監視、指導を強めるため、食品表示の相談窓口の機能を強化する。また、食品表示特別Gメン(表示・規格特別調査官)を新設するなど、体制を強化する。警察庁と連携を強めるほか、関係省庁と「食品表示連絡会議」(仮称)を設置する。
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