農業協同組合新聞 JACOM
   
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営農経済部門との連携が不可欠
−第3回JAバンク担い手金融リーダー全国大会 (1/21〜22)


◆JAバンクの役割発揮を
JAバンク担い手金融リーダー全国大会

 農林中央金庫は1月21、22日に第3回JAバンク担い手金融リーダー全国大会を東京都内のホテルで開いた。
 JAグループは地域農業の担い手育成・支援をグループあげての課題としているが、信用事業でも担い手対応を進めるため、JA、信連、農林中央金庫に「JAバンク担い手金融リーダー」の設置をすすめ、現在、約1600人まで広がっている。大会には担い手金融リーダーなど関係者約200人が参加した。
 上野博史農林中金理事長はJAバンク担い手金融リーダーは各地で定着化しているものの、米価の下落、燃油価格、飼料価格の高騰など農業経営に大きな影響を与えている状況にあることから「担い手金融リーダーの役割が一層期待される」とあいさつで強調した。
 大迫健農林部長は情勢報告のなかで、地銀など金融機関が地域への貢献をうたうリレーショナルバンキングの考えのもと、法人との取引など農業分野への新規参入が増えていることを指摘。JAバンクも地域に貢献する存在であることを改めて示す必要があり、そのためには「もっと出向く体制が必要」と語った。また、地域ごとに特性のある農業への金融部門としての対応が課題であることや、担い手への支援の方法も貸し付けだけでなく、出資やリース方式による与信供与なども課題となると話した。
 今大会のテーマは「担い手に出向く体制」と「金融部門と営農経済部門の連携強化」。
 先進事例としてJA高岡(富山県)の担い手への金融対応体制についての報告があり、金融共済部、営農部、経済部(農機)の3部署が連携して定期的に検討会を開いている例や、JA利根沼田(群馬県)の営農経済渉外活動が報告された。
 JA利根沼田では07年4月にそれまでの兼任体制から専任体制に切り替えた営農経済渉外課を発足させ、「現場は情報の宝」の考えのもと「渉外員はとにかく外へ」を日常的に実践してきた。活動内容は営農相談と肥料を中心とした農業資材の事業拡大。10人の渉外員による19年度巡回実績は8700件でうち有効面談率は6割だという。綿貫利光課長は今後は金融渉外部門とプロジェクト会議を開催し、「JA総合渉外の確立をめざしていきたい」と語った。

◆出向く体制で総合JAの力を

挨拶する上野博史農林中金理事長
挨拶する
上野博史農林中金理事長

 パネルディスカッションでは、地銀などの農業への新規参入と農業融資そのものの減少、JA合併による支店統廃合などの状況のなかで、JAバンク担い手金融がどう対応すべきかが議論された。
 滋賀県の農事組合法人・酒人ふぁ〜むの福西義幸理事は「JAはお金を預けにいくには行きやすいが、借りるには行きづらい」と指摘。「出向く体制」が担い手からも求められていることを強調した。また、現場は情報の宝庫であったとしても「情報は鮮度が大切」との指摘も議論のなか出され、出向く体制づくりとともに、得た情報や担い手のニーズに迅速に対応しなければ他業態にシェアを奪われてしまうことも課題だとされた。
 地銀などの新規参入に対しては「銀行にはできない営農相談も含めたJAグループの総合力」を発揮すべきとの観点から、営農部門との連携など「組織に横串を入れることが重要」で、そのためにはJAのトップ層の指導力が大切なことも指摘された。
 酒人ふぁ〜むの福西理事は集落営農組織も含め多くがコメの生産をしている状況で、米価下落のなかJAが本当に金融面での支援ができるかどうかが問題だとし、「資金があれば生まれ変わることができる経営がある」ことから集落営農も含めて「経営を見る目」が一層重要になることも議論された。

(2008.1.25)

 

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