農水省のでん粉に関する協議会(座長:関川和孝(独)農畜産業振興機構副理事長)は2月5日、平成19年度の第2回会合を開き、19でん粉年度(平成19年10月〜20年9月)の需給見通し案を了承した。昨年7月の第1回協議会での見通しを実態に即したものに修正した。
下期の需要量は、糖化製品101万5000t、化工でん粉22万t、その他(製紙用、ビール用、片栗粉など)31万7000tの合計155万2000t。供給量はコーンスターチ138万4000t、輸入でん粉(糖化用、化工でん粉用)6万1000t、輸入でん粉(その他用)8000t、小麦でん粉1万tの合計146万3000t。
19年度全体の需給見込みは、需要量299万8000tに対し、供給量が301万9000tで、20年度に2万1000tを繰り越す。
供給量に占める国内産いもでん粉の数量はかんしょでん粉4万4000t、ばれいしょでん粉25万8000t(前期からの繰り越し2万3000tを含む)の計30万2000tでシェアは1割程度。でん粉原料用かんしょの生産地域は、南九州(鹿児島、宮崎両県)のみ。19年産のかんしょは台風の被害でいもの肥大が抑制されたため、原料かんしょの集荷量は14万5000tとなり、かんしょでん粉の生産量は前年比1万t減の4万4000tとなる。
でん粉原料用ばれいしょの生産地域は北海道のみで、ばれいしょは生育期の天候の影響はあるものの、原料ばれいしょの集荷量が大幅に回復したため、ばれいしょでん粉の生産量は前年比2万8000t増の23万5000tとなる。
コーンスターチの原料となるとうもろこしについては、わが国のとうもろこし輸入の9割を占めるアメリカのエタノール原料向け需要の増大で、シカゴ穀物相場は高水準で推移している。一方、2007/08年度のアメリカ産とうもろこしは前年度を24.1%上回る過去最高の生産量が見込まれるため、当面供給不安はないと見込んでいる。
協議会の委員からは今後の課題も指摘された。鹿児島県農協中央会の松本専務は「原料供給は焼酎用が優先になっており、でん粉工場の稼働率は63%程度。JAのでん粉工場10工場のうち3工場が赤字のため操業を止めた。残った工場も集約して設備投資しないとやっていけなくなる状態だ」と現状を訴え、「かんしょの生産は台風などに備えた”防災営農”の面もあり、必要品目なので生産維持の支援を」と要望した。
スターチメーカー側委員は「アメリカのとうもろこしは、非遺伝子組み換えの比率が下がっており、プレミアムがこれまでの培以上になりそう。船賃の高騰と相まってコーンスターチ原料価格は高騰する」と今後の価格動向を危惧した。
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