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担い手要件を緩和 食料・農業・農村基本計画原案まとまる (2/24)

 10年先を目途に今後の農政の進め方を示す新たな食料・農業・農村基本計画の原案を農水省が2月24日まとめた。食料自給率目標は現行計画の45%をそのまま10年後に先送りした。現状は40%。「食の安全」では従来掲げていた「安全・安心」のうち「安心」という言葉が消えた。担い手の絞り込みでは、小規模・兼業農家も一定要件を満たす集落営農組織に参画すれば経営安定対策の対象となる道を開いた。一方では株式会社が全国的に農業参入できる道も開いた。また農業生産資材の引き下げを一層促す対策なども盛り込んだ。
基本計画の原案を検討する政策審議会の企画部会=2月24日、霞ヶ関
基本計画の原案を検討する
政策審議会の企画部会=2月24日、霞ヶ関

 同計画は3月に閣議決定する。策定と併せて工程表を作って施策を推進し、その評価にもとづき、おおむね5年ごとに見直す。原案は、政策審議会の中間論点整理をベースにした。

◆自給率はカロリー基本

 要点のうち、食料自給率はカロリーベースで5割以上を目指すのが基本だが、10年後の段階では現在より5ポイント高い45%を目標とした。計画を見直す5年後には達成が見通せるようになることを目指す。
 熱量に加え、生産額(金額)ベースでも現状の70%を76%に引き上げる目標を掲げた。これは現行計画の参考目標値74%よりも2ポイント高い。
 また主要品目別に10年後の生産努力目標を設定し、農業関係者が取り組むべき課題もそれぞれ示した。
 自給率向上を目指す生産面全体の重点課題としては▽経営感覚に優れた担い手による需要に即した生産の推進▽食品産業と農業の連携強化▽効率的な農地利用などを挙げた。
 これらの前提となるのは現行目標が達成できなかった要因の検証だ。そのまとめには、消費面で「食生活指針」の取り組みが食生活の見直しに結びついていないこと、などがある。
 また生産面では▽消費者と実需者のニーズの把握と対応が不十分▽担い手の育成が不十分▽耕畜連携による飼料作物の生産が進まなかったことなどを挙げた。

◆集落営農組織も担い手

 今後の施策では、新たな経営安定対策を平成19年度から導入する。関税引き下げを視野に入れ、輸出国との生産条件格差を是正するため、直接支払いを導入。また販売収入の変動が及ぼす経営への影響を緩和する対策を検討する。
 対象となる担い手には認定農業者のほか、集落営農組織も含まれる。骨子の段階では営農組織の経営規模要件を設定するとなっていたが、今回の原案では、それがなくなり、「法人化の進展状況」などを踏まえて「地域の実情を十分勘案し、必要な施策を講じる」という記述が入って、要件に柔軟性を持たせた。

◆10年後の構造展望示す

 原案の関係資料では、10年後の総農家数を210〜250万程度と見通した。うち効率的で安定的な農業経営は家族農業で33〜37万程度、集落営農で2〜4万程度、法人で1万程度と見込んだ。現行計画の「構造展望」には集落営農は明記されておらず、担い手にカウントされたのは今回が初めて。
 農地面積は現行計画の策定時に491万haだったが、予測以上に、その後の減少テンポが早く、このままでは10年後に431万ha程度となる見込みだが、原案では耕作放棄地の抑制や再活用の施策実施で約450haを確保する目標を掲げた。
 農用地利用改善事業の仕組みを充実させ、集落営農組織の法人化を図りつつ、担い手への利用集積を進める。また農地保有合理化事業では、農業生産法人への金銭出資や農地の貸付信託の仕組みを導入。さらに宅地で行われている定期借地権の農地版をつくったり、交換分合なども進める。

◆株式会社参入に道開く

 耕作放棄地がかなり多い地域では、農業生産法人以外の株式会社についてもリース方式による農業参入ができる仕組みを全国的に展開するとした。そうした地域では農地の権利取得の際の下限面積要件引き下げができるようにする。
 このほか目新しい施策としては▽健全な食生活を広めるフードガイド(仮称)の策定▽地産地消に取り組む人材の育成▽食品産業と農業を結びつける調整役の育成▽農産物と食品の輸出促進▽生産資材の一層の低減、などがある。

(2005.3.1)


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