JA全農長野県本部の研究開発機関、(社)長野県農村工業研究所は、信州大学医学部との共同研究「米糖化液の抗ピロリ菌作用に関する研究」を2月4日から開かれる第16回日本臨床微生物学会総会(国立京都国際会館)で報告する。
米糖化液とは、米をどろどろの液状にしたもので、同研究所と長野興農(株)では精白米、玄米、発芽玄米を原料に高温高圧処理したあと酵素によって糖化液にする方法を開発した。米の新用途素材として、製造法は特許出願中だ。
ヘリコバクター・ピロリ菌は、胃かい瘍や十二指腸かい瘍などの原因とされている細菌で日本人では40歳代で40%以上の感染率とされている。先進国のなかでは感染率が高い。
研究はこのピロリ菌に対する米糖化液の殺菌効果をみたもの。
結果は、高温高圧処理米糖化液を30分間接触させると、ピロリ菌の数が100分の1から100万分の1へと大幅に減少した。また、殺菌作用は接触時間の増加とともに上昇した。
研究では炊飯米を液状にした糖化液と炊飯米での殺菌作用も調べたが、炊飯米糖化液では菌の減少は緩やかで、また、炊飯米には殺菌作用は認められなかったという。
今回の研究では、高温高圧処理米糖化液はピロリ菌に強い抗菌作用を持つことが明らかになった。米糖化液を使った食品としては、現在一部でゼリーなどに添加したものがある。同研究所では今後、ヨーグルトやアイスクリームへの添加や米糖化液そのものを飲料とするなどの食品開発を考えたいという。米の新たな用途としての商品化が期待される。なお、学会での発表は5日、信州大学医学部保健学科病因病態検査学講座(川上由行教授)のグループが行う。
|