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補助金不正受給も発覚 全農秋田のコメ取引で厳しい処置を申し渡し
-農水省 (4/21)

農水省から申し渡しを受けるJA全農の種市会長 (左)と田林理事長
農水省から申し渡しを受けるJA全農の
種市会長 (左)と田林理事長
=4月21日同省。
 農水省はJA全農秋田県本部のコメ横流し事件を調査しているが、その中で新たにコメ架空取引の疑惑も浮上したと4月21日発表した。これとともに全農の種市一正経営役員会会長と田林聰理事長を呼んで、須賀田菊仁経営局長から、再発防止策を徹底することなどを申し渡した。責任・監督者の厳重処分など国民の納得を得られるようなけじめをつけることなども含まれている。
 さらに(1)同県本部と子会社である(株)パールライス秋田のコメ価格センターにおける入札取引の停止、(2)同県本部に対するコメ流通関係の補助金交付の停止、(3)同県本部とパールライス秋田との間のコメ取引自粛、も申し渡した。停止期間は再発防止策の確立と徹底までとなっている。
 すでに4月21、22日に行われたセンター入札にも両組織は参加を自粛した。
 横流し事件は農水省の検査で発覚した。これによると、同県本部はパールライス秋田と共謀し、同社の赤字を穴埋めするため、生産者が販売委託したコメを、生産者に無断で販売。その代金で不良債権を処理したとなっている。
 詳しく見ると、同社は取引先の商事会社が経営不振に陥って平成15年産のコメ販売代金のうち2億5100万円を回収できなくなったため、県本部のコメを流用して762tをほかの卸会社に販売。その代金を穴埋めに当てた上、横流し分に相当する国庫補助金200万円を全農全国本部に申請して不正受給した。
 これの調査にからんで架空取引の疑惑も浮かんだ。
 昨年5月と6月、コメ価格センターの取引で、県本部が上場したあきたこまちなど3銘柄を、パールライス秋田と同県内の民間卸会社1社が、ほかの買い手よりも高値で落札したが、実際には商品の引き渡しはなかったという疑惑だ。
 空売りは15年産3023tで8億7900万円。これに相当する国庫助成金の不正受給は1200万円。さらに売買からは手数料を取るため、空売りと買い戻しによって共同計算事業に与えた損害は800万円となる。
 架空取引の目的について農水省は、応札価格をつり上げようとする価格操作と見ており、さらに詳しく調査し、パールライス秋田と組んだ民間卸の調査も進める。価格操作の場合は、独禁法上の不公正取引に当たる疑いもかかってくる。
 同省は補助金・助成金の全額返還を求め、さらに補助金適正化法違反の容疑などで県本部を刑事告発する方針。
 一方、全農も4月21日、この2つの事案について調査の中間報告を発表した。
 農水省の申し渡しを受けたあと、種市会長は「残念だ。真相究明に全力を挙げて、責任を明らかにし、厳重な処分を行いたい。先に全農改革委員会の答申が出ているので、これを尊重して改革を全うしたい。これが私の責任だ」と語った。
 また田林理事長は「管理不行届きというより他はない。再発防止策を確立し徹底していく。とりわけ共同計算の実施状況をよく調査し、共計管理をしっかりやっていきたい」と語った。

(2005.4.22)



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