JA全農は秋田県本部のコメ取引問題に対し、コンプライアンス(法令順守)担当の萬靖義専務を委員長とする調査委員会を設け、3月下旬から再発防止策を検討。4月21日の中間報告では、コメ共同計算について運営と管理の改善を打ち出した。具体的には▽県域共計の運営指針(平成13年制定)を要領化する▽県域共計の監査方法を見直し、統一化する▽定期的な在庫確認(年間複数回)を実施するなど。
また18年2月に稼働を予定している全国事務集中センターシステムの統一帳票の活用も挙げた。
共計はコメ事業システムの根幹であり、これが傷つくようなことがあってはならないとして「共計の運営管理をきちんと見直し、透明性をより確保していく」(萬専務)という。
さらにコンプライアンス意識を徹底するため▽同県本部と(株)パールライス秋田の全役職員を対象に定期的に研修会と講習会を開く▽秋田独自の様式を作って事業を点検する▽子会社への外部役員導入など取締役と監査役の体制を見直す、などに取り組む。
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JA全農は21日、コメ横流し事件について、(株)パールライス秋田は本来、赤字を計上すべき15年度決算を、当期利益2000万円の黒字とする粉飾決算を行ったと明らかにし、社長(全農秋田県本部長を兼任)と専務の責任は重大である、との調査結果を発表した。
これによると、コメ代金の焦げ付きを穴埋めするため、社長と専務は、農家から販売委託されているコメの流用を決め、その処理を指示された県本部は762tについて簿外出荷の処理を行った。パール秋田はこれを16年3月に販売。その代金を延滞債権の入金と偽って入力し、焦げ付きを消し込んで、赤字を糊塗した。また担当者への指示が不徹底であったため4月以後の販売に対して支出される「米流通システム改革促進対策費補填金」を不正受給した。
一方、架空取引疑惑については、16年始めから米価が下落し、入札価格が農家への仮渡金を下回る状況となったため県本部は、パール秋田と県内の卸1社に買い戻し条件付きで応札を依頼し、物流のない取引を行ったと明らかにした。
架空取引により県本部は共計勘定から手数料を不正に受け取り、また「米流通システム改革促進対策費補填金」を不正受給した。 |