農業協同組合新聞 JACOM
   
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JAの販売事業システム見直し 委員会設け検討へ
−全中の経済事業改革本部 (4/27)

 JAの農産物販売事業は価格低迷と自給率の低下から、この10年間で約2割も落ち込み、集荷と販売のコスト回収ができていない。このまま赤字傾向が続けば販売機能が低下し、組合員の不利益を招きかねない。農産物販売はJAの基幹事業だけに、こうした状況を重視したJA全中の経済事業改革中央本部は4月27日の委員会で、JA販売事業改革の検討小委員会を設けて、活性化方策の検討を急ぐことにした。
 コメ、園芸作物、担い手対応の事業システムの3部門に分けて検討する。この日の本部委員会は、JAがその機能を発揮して今後とも農産物供給を続けるためには「集荷・販売コストの回収と低減が重要であり、販売事業システムの見直しが重要」であることを確認した。
 ただ、コメについては、国の政策待ちといった問題もまだ多いため、検討はまず園芸作物から始める方向だ。担い手対応は、全中の「基本方針」(3月の全中総会で決定)が担い手づくりを柱の1つとしているため、これを重要テーマとした。
 5月に第1回検討小委員会を開き、以後月に1回ほどのペースで進め、9月をめどに方向をまとめる予定。委員は中央本部の委員の1部と、専門的な有識者、JA代表から選ぶ。
 JA販売事業を取り巻く環境変化としては、輸入農産物の増加が基本にある。そしてコメ流通の自由化によりJAの集荷率が低下している。また卸売市場改革では卸売・仲卸が直接、産地集荷に参入してくる傾向の強まりも考えられる。
 一方、法人化する集落営農のミニ農協化も予想される。さらに担い手への直接支払い導入にともない麦・大豆などの販売価格が国際価格並みになることを想定してもJAの取扱高は減少することになる。
 消費構造の変化では、家庭食が減少し、外食や中食が今後も拡大する傾向だ。農産物の販売先も外食産業や食品残業への原料供給が増え、特定の規格品を安定的に年間供給することが求められる。これにはJAグループの連携出荷が必要となり、それを実現しないと、輸入品に市場を奪われることになる。
 こうした見通しから、もはや加工事業の拡大などといった従来の対策では、変化に追いつけないとして中央本部委員会は、JA販売事業システムの見直しに乗り出した。
 販売事業の手数料は、食管時代のコメ集荷代行手数料を基準とした定率体系でコメ3%、青果2%となっているため、JAの販売事業総利益はこの10年間(平成14年度末まで)で約2割減少している。
 一方、販売事業関係のJA職員数は、パートなど臨時職員の割合は増加しているが、全体では、ほぼ横ばいだ。この結果、販売事業の労働生産性も10年間で2割低下している。
 なお、JA全農はすでに3月中旬に米穀事業の基本方向を決定、今後の姿についてシミュレーションを実施することにしている。園芸事業でも改革構想を検討している。小委員会の検討は全農と連携して進める。

(2005.4.28)



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