農業協同組合新聞 JACOM
   
農政.農協ニュース
法令守る意識不徹底 全農あきたのケース (5/23)

 JA全農の調査報告書によると、パールライス秋田は(有)白木商事に販売したコメ代金が焦げ付いたため秋田県本部が生産者から販売を委託されているコメの横流しを受け、その販売代金で未回収債権を消し込んで粉飾決算をした。
 また県本部は、預かり米の出荷を簿外処理したが、幹部職員は、この流用に明確な反対をしなかった。パール秋田の社内でも、関係幹部の多くは粉飾決算に異論を唱えなかった。
 これよりさき同社専務は、白木との取引が危ないとして営業課長に取引中止を命じたが、課長はこれに従わず、社内統制が利かない中で未回収債権が拡大した。
 また同社は、債権回収の措置について弁護士などの専門家に相談しなかった。一方、秋田の県共計には、年産の最終精算までは、重要事項や収支の経過が共計委員会に付議されていないなどの問題も挙がった。
 架空取引については「あきたこまち」への作付集中を防ぐため「めんこいな」などへの作付誘導をする中で、生産者の作付意欲を喚起する価格水準が望ましいという動機が県本部にはあったと指摘。
 これにより県本部は、県内のコメ卸会社に応札を依頼した。同社の証言や、県本部が落札米の買い戻し代金を事前送金した行為から見て、最初から買い戻しを念頭に応札の交渉をしていたものと全農は判断した。

◆補助金の不正受給認める

 この架空取引により、コメ価格センターで形成された指標価格が、その後の相対価格に反映していることを考えれば、高値誘導のそしりを免れない、とした。さらに報告書は、買い戻し代金の事前送金に県共計の事業預かり金を無断で使ったことなどは、協同組合の基本を忘れて組合員・会員の信頼を裏切った行為であり、県本部米穀部長ら幹部職員の責任は重いと指摘している。
 流用した販売委託米と、買い戻した入札米に係る保管料などの国庫補助金について、申請責任者は、それらが交付対象外という認識は持っていたものの、そのことを担当者に明確に指示しなかった。また県本部内部の相互チェックも機能していなかったことから、交付金申請書が作成・提出されて、不正に補てん金を受け取ったという。この辺は農水省調査とは微妙に異なる報告となっている。

(2005.5.23)



社団法人 農協協会
 
〒103-0013 東京都中央区日本橋人形町3-1-15 藤野ビル Tel. 03-3639-1121 Fax. 03-3639-1120 info@jacom.or.jp
Copyright ( C ) 2000-2004 Nokyokyokai All Rights Reserved. 当サイト上のすべてのコンテンツの無断転載を禁じます。