全農秋田県本部と(株)パールライス秋田の不正コメ取引についてJA全農は5月20日、調査結果を発表した。内容は農水省の調査結果とほぼ一致した。再発防止策については、外部の有識者らからなる全農改革委員会がすでに全面的な改革案を、会長に答申しているため、これを早急に実践に移していく、とした。改革は単に米穀事業だけにとどまらないとの考え方だ。
また今回の不正では、コメ代金をプールする共同計算のあり方が背景に浮かび上がったため、5月9日にはプロジェクトを設け、改善の検討に入った。
田林聰理事長は「全国本部も県本部も共同計算の管理が不十分であるとわかったので、さらに詳しく県ごとの実態をつかんで5月末には検討結果をまとめるよう指示した」と語った。
経済連と統合した全農として、統一した県域共同計算の仕組みを構築するためその運営指針を見直した上で、指針を要領化し、管理機能を強化する。
◆改革委答申の実践が課題
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秋田県本部のコメ不正取引に対する
調査結果を発表するJA全農の
田林理事長(中央)と
萬専務(左) |
秋田では県本部長がパールライス秋田の社長を兼務し、これが不正の温床となったが、ほかにも青森と庄内(山形)に兼務があり、また福岡と大分では副本部長が社長となっているため、兼務を解くことにした。
さらに全農は、秋田県本部の不正と類似したコメ横流しと架空取引の事案が他にもないかどうかを調査。その結果、全34府県本部から「行っていない」との回答を得た。しかし、これは自主点検の結果報告であるため、現在全国本部から各府県本部に出向いての調査を進めている。
全農は、こうした一連の調査や処理の結果を踏まえ、6月の経営役員会を経て、監督責任を含めた関係者の処分を行う。すでに責任重大な職員と社員については秋田県警に告訴した。
20日の記者会見には田林理事長と萬靖義専務(調査委員長)らが出席。「生産者、消費者、国民のみなさんにご迷惑をかけたことを深くおわびする」と陳謝した。田林理事長は「コンプライアンス意識の不徹底を痛感させられた。今後は全農改革委員会の答申を早急に実践に移し、2度と不祥事を起こさないように努める」と再発防止を誓った。なお共計勘定に対するコメ代金や手数料支出の戻し入れは、すでに行われた。不正受給した国の補助金も近く返金する。
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