全農秋田県本部のコメ不正取引などを受け、コメ価格センターは6月7日、再発防止策として、上場数量の基準を販売計画数量の3分の1以上とするなどのルール見直しを決めた。また全農県本部と経済連の米穀担当役職員が、米卸子会社(パールライスなど)の役員を兼務している場合は両者間の入札取引は認めない事項も決めた。
さらに、売り手が買い手に販売対策費を渡して落札させる行為と、買い手が販売対策費を要求する行為を「不公正な行為」として禁止した。
センターは現行の業務規定では明確でない「不公正な行為」を今回、次のように4項目明示した。
(1)売り手が買い手に対し、第三者への転売または買い戻しを条件に入札を働きかける行為、(2)販売対策費などの割戻し、その他特別な利益の提供を条件に入札を働きかけ、また買い手が販売対策費などを要求する行為、(3)取引が成立したコメを期限内に受け渡ししない行為、(4)売り手が買い手に落札を根拠とした販売対策費などを支出する行為。
見直しルールでは、このほか入札後に毎回、取引監視委員会を開いて不正がなかったかどうかを銘柄ごとに点検する。不自然な入札価格などをチェックし、監視委で決めている数値(非公表)基準をはずれた入札は保留のうえ、関係者を調査し、不正があった場合は入札を無効とする。
全農県本部・経済連と同県内卸子会社の取引については、とくに、ほかの入札取引との比較データなどと突き合わせて検証する。
このため入札結果の公表は原則として翌日となる。
一方、取引委員会の中立性を高め、体制を強化するため、法律と会計の専門家を委員に加える。現在は同センター運営委員会の中立委員と職員で監視委を構成している。
これらの見直し策は、センターの入札取引と指標価格の形成に対する信頼回復を目的に運営委が決めた。原則として、6月22日の16年産米入札から実施する。
■ストップ高制は見送り
上場数量を売り手の販売計画の3分の1以上とする自主ルールについては、17年産米から適用する。詳細は7月中に決定する。
産地銘柄別、売り手別に上場数量が多いと、価格操作などが比較的難しくなるとして基準を引き上げた。
しかし現実は相対取引が主流になっているため、相対での予約分や、各JAの直売分などは上場対象から、はずす方向だ。
全農県本部・経済連と卸子会社の役員兼職禁止は全農側の人事が7月前後となるにしても、発令までの間は入札参加を認める。兼職は現在4県。
センターの運営委では、米価の高騰対策として上限価格を設けるストップ高制度の導入も課題としていたが、今回は見送った。
一方、不落札が多く、売れ残りが増えた場合には再入札にかけるなどのルールも課題だが、これは来年の入札取引から導入する方向で協議を続ける。
4割以上が不落札となった場合の加重平均は指標価格としないなどの具体策があり、さらに検討する。
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