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コメ生産コスト下がる −粗収益、22%の減少 (8/2)


 農水省が8月2日に発表した16年産の米生産費調査結果では、全算入生産費は収量が増加したことから前年にくらべて減少した。しかし、粗収益は価格が高騰した前年にくらべて22%も下がった。
 10アールあたりの全算入生産費(資本利子・地代算入全額算入生産費)は14万8161円で前年より2.5%減少した。これを60kgあたりでみると、1万7205円で前年にくらべ7.7%の減となった。収量が15年産にくらべて増加したことによる。
 10アールあたりの全算入生産費は、台風などの災害の影響で建物修繕費が上昇したり、原油高による光熱動力費が増加したが、農機具などの償却費の減少や春先の好天で作業効率が上がったことなどから、全体としては減少したと農水省は指摘している。
 ただし、粗収益は前年より悪化した。10アールあたりの粗収益は11万8504円で前年より22%の減。稲作所得基盤確保対策(稲得)による補てんを加えても12万1820円で前年より18.9%下がった。所得は15年産が10アールあたり約6万5000円だったが16年産では約3万8000円と4割以上も落ち込んでいる。

■北海道など経営厳しく

 16年産米の入札平均価格は60kgあたり1万5711円と史上最低価格となった。なかでも北海道産米は空前の低米価で経営に大きな打撃を与えている。
 16年産米の入札平均価格は結局、1万2888円となった。本州よりも輸送コストが高くつくため流通経費は2200〜2300円だという。生産者の手取りは1万500円程度でかろうじて1万円代を確保できるかどうか。
 稲得の発動基準価格は1万5688円で年産平均価格との差額は3000円近くだ。5割補てんが稲得の仕組みだが、基金不足で補てん額は1俵300円の固定支払いを含めても満額で780円。補てんを含めた手取り額は1万1300円程度とみられる。
 北海道の60kgあたり生産費(利子・地代算入生産費)は平均では1万1170円と公表されたが、作付規模別にみると3〜4ヘクタール層は1万5094円、4〜5ヘクタール層は1万2960円で稲得を含めても生産費を償えない実態となっている。
 10ヘクタール以上層では1万682円と数字上は生産費を償えるようにみえるが「規模拡大のための借入金などを抱えている実態が反映されていない。価格形成は市場にまかせているのに、旧態依然とした生産費調査との比較だけで経営安定対策は議論できない」(道農協中央会)との指摘が出ている。

(2005.8.8)


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