茨城県で相次ぎ9件が発生した高病原性鳥インフルエンザ問題で、農水省は4日、外部専門家による感染経路究明チームの第1回検討会を開いたが、感染ルート特定は難航し、今後、あらゆる可能性をたどって調査を続けることにした。
病原はH5N2亜型のA型インフルエンザウイルスと確認。3年前に中米のグアテマラで見つかったウイルスに近いとの見解をまとめた。遺伝子の塩基配列がほぼ一致しているという。 グアテマラから日本に直接飛んでくる渡り鳥はいないし、東南アジアで発生した型とも異なるため、当初あった渡り鳥説は、これでほぼ消え去った。
それと入れ替わりの形で「廃鶏」「中古鶏」によって伝播したのではないかとの疑惑が浮上した。
卵を産めなくなった廃鶏は、食肉用に食鳥処理場へ出荷される。これは、乳が出なくなった廃牛が処理されるのと同じ経路だ。
ところが鶏の場合は処理直前に、まだ産卵できそうな鶏を買い取る廃鶏業者がいて、これを中古鶏として採卵農場に売っている。その値段と餌代に見合う産卵があれば採算がとれるため農場側の需要もある。
9例目が発生した茨城町の養鶏場は4月14日に廃鶏約3万羽を茨城県西部の食鳥処理場に出荷したが、うち約3000羽が処理されていないことが県の調査でわかった。今は「行方不明」の段階だが、中古鶏として、採卵農場に出回った可能性があるという。
一方、2〜5例目が出た水海道市の農場は中古鶏を買ったが、それがどこ「出身」の鶏か、廃鶏業者から購入したため「身元不明」だ。茨木町の農場出身の可能性を否定できない。
厚労省所管の食鳥処理法には肉にする場合の規制はあるが、生きたままの売買は自由だ。しかし感染ルートの究明には、生きて処理場を出た中古鶏の流通先もつかむ必要があり、検討会は、その辺の丹念な調査も農水省に求めた。
一方、検討会は野犬、野ネズミ、ハエなどの駆除に手抜かりのある養鶏場の衛生管理も指摘した。また道路に面した鶏舎ではトラックなどの動きも調査の必要があるとした。
さらに侵入経路、伝播経路ともに明らかでない中で現在、実施中の全国一斉サーべーランスによる状況の把握はきわめて重要であるとした。次回は情報を集めた上で9月上旬に開く。
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