10月15日現在の17年産水稲の作況は全国で「101」と1か月前にくらべて1ポイント低下した。(表)
9月上旬に上陸した台風14号の被害と、九州を中心に9月の気温が平年を2〜3℃上回ったことから夜間の高温による登熟障害で乳白米が増えるなどの被害があった。また、トビイロウンカと紋枯病の被害も発生し、これらの要因で九州は9月15日現在では99だったが5ポイント下がって94となった。また、新潟は県全体では100だったが、昨年10月に発生した中越地震で大きな被害が出た魚沼地方では、農地改修の遅れから田植えが時期がずれ込み登熟期間の短縮などの要因もあって97となった。
■豊作での過剰は9万トン
作付け面積は170万9000ヘクタールで生産量は約906万トンと見込まれている。このうち13万トンの加工用を除くと主食用は893万トンとなり来年6月末までの需要見通し853万トンにくらべ40万トンの過剰となる見込み。
このうち豊作による過剰分は作況指数が9月より1ポイント下がったため、9万トンとなった。残り31万トンは昨年より低水準となっている民間在庫への積み増しが見込まれるほか、政府米として年内に40万トン買い入れが予定されていることから「豊作分を区分出荷すれば需給は均衡する」(農水省食糧部)という。
過剰米を区分出荷する集荷円滑化対策は、全国、県、作況表示地帯で作況が101以上の場合に発動される。今回の結果で、発動対象は24都道府県となり。作柄表示地帯では全145地帯のうち63地帯となった。
集荷円滑化対策の加入率は全国で65.6%にとどまっているが、作況109となった北海道では加入率98%と高く対象9万トンのうち5万トン程度が区分出荷されることから今年の場合はほぼ全量が処理される見込みもある。
ただし、ブロック別ではもっとも生産目標数量の多い関東の加入率が36.5%ともっとも低いなど地域のばらつきがある。対象地域では確実に区分出荷することが求められると同時に、来年産以降、加入率を上げていかなければ加入率の高い産地から不公平感が出てくることにもなる。
《集荷円滑化対策の発動都道府県》北海道、青森、岩手、宮城、山形、福島、茨城、栃木、千葉、東京、神奈川、富山、石川、福井、山梨、長野、滋賀、京都、大阪、兵庫、島根、広島、徳島、高知
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