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委託試験成績を中心に熱心な討議 全農がIPM研究集会 (3/2)

 化学的農薬だけではなく天敵やフェロモン剤など生物的防除、さらには防虫ネットなどの物理的防除や耕種的防除を適切に組み合わせで病害虫を総合的にコントロールするIPMにこれからの防除技術として関心が高まっている。
 JA全農は、実際に産地で起きている問題を解決するために、農業試験所などに試験を委託し、毎年「農薬委託試験成績検討会」を行っている。その委託試験でもIPM関係試験が増えており、今後、IPMを核とした系統の事業のあり方を論議するために、3月2日、「平成16年度IPM研究集会・農薬委託試験成績検討会」を東京・コープビルで開催し、国公立試験所、農薬メーカー、経済連・県本部などの関係者約100名が参加した。
行政の考え方を報告する安藤由紀子植物防疫課課長補佐
行政の考え方を報告する安藤由紀子植物防疫課課長補佐
 研究集会では、まず「全農のIPMに関する取り組み」が報告された。このなかでは普及に関する主な取り組みとして、▽フェロモン剤を核としたIPM防除体系の確立と普及▽水稲における微生物種子消毒剤の普及▽天敵農薬の普及をあげた。
 次いで、農水省消費安全局の安藤由紀子植物防疫課課長補佐が「行政におけるIPM施策の展開方向について」と題して、国のIPM検討会における検討内容など情勢報告を行なった。
 その後、全農が委託したIPM関係試験の成績が報告された。委託試験は(1)フェロモン剤使用下での天敵利用技術の確立(2)果樹の総合防除に関する試験(3)ナシにおける総合防除確立試験(4)茶園におけるハマキコンNを組み込んだ総合防除法確立試験(5)野菜用フェロモン剤を用いた害虫防除法確立試験(6)施設栽培トマト・キュウリの生物農薬と化学農薬の防除体系確立(7)落葉果樹におけるフジコナカイガラムシの防除対策(8)ナシ圃場における化学農薬が土着天敵に与える影響、の8課題で、いずれも生産現場でIPMを確立してうえで重要な課題だ。
 また、大野和朗宮崎大学助教授が「生物的防除を基盤とした総合的害虫管理:農家との取り組み」と題した特別講演を行なった。
 午前中には、病害虫防除対策として委託試験をされた4課題についても報告がされた。
 あまり知られてはいないが、全農では全国共通課題の薬剤耐性・抵抗性対策、IPM関連試験や各地域独自の課題について農業試験所や研究機関に試験を委託するなど、地道な努力を続けてきている。生産資材では、とかく価格面だけが話題となるが、こうした努力についての評価も大事ではないだろうか。

(2005. 3.4)



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