JA全中は、改正農協法にもとづいてJAの組織や経営を指導する新たな基本方針を3月の総会で決定するが、その柱の1つとなる経済事業改革案を1月18日の同改革中央本部委員会で確認した。「従来のJAグループの経済事業システムは競争力が低下してきている」とし、その強化を加速する方針を掲げた。
内容は、各JAが▽「改革プロジェクト」を設ける▽営農指導を強化する▽販売戦略を見直す▽生産資材価格を引き下げる▽物流・農機・給油所・Aコープの収支を改善する▽カントリーエレベーター(CE)など共同利用施設の運用を改善する、など。
また同改革中央本部は、経済事業部門の収支均衡などJAなどが達成すべき財務目標も定めた。
一方、県域に設ける改革本部は改革指針を策定し、個別JAを支援して、改革の進捗状況を管理する。
こうした基本方針は、法的な力を持ち、取り組まないJAに対しては、全中が文書指導をし、JAはそのことを組合員に報告しなければならず、それもしない場合は行政が検査する。
事業目標は5項目。営農指導については、JA段階で新年度に、その位置づけを振興計画の中などで明確にし、機能強化を図る。
販売戦略見直しでは、消費者接近に向け、生産履歴記帳を徹底。それを販売に結びつける直売を拡大し、安全・安心な「JAブランド」を確立する。また機能とコストとリスクに応じた手数料と経費を検討する。
生産資材価格引き下げはJAで物流合理化を進めるとともに、価格調査にもとづく弾力的な農家向け価格を設定。また担い手や集団への一括購入条件などについて合意を形成する。
拠点型事業については、農機・給油所・Aコープなど赤字が目立つ事業の収支を改善する。
CEなど共同利用施設については、収支状況を把握し、問題のあるJAは利用率向上、適切な利用料の設定、施設再編、受益組織への移管などに取り組む。
財務目標は、すべてのJAが「農業関連事業」については共通管理費配賦前の事業利益段階で、「生活その他事業」については純利益段階で、原則として平成17年度までに収支均衡を図ることとした。
また部門別損益の赤字幅が2期連続して自己資本対比3%以上の合併構想実現JA(これに準ずるJAを含む)に対しては、県域改革本部が改善を優先的に支援して進捗管理をする。
経済事業子会社(JAの出資比率50%以上)については、原則として平成17年度までに赤字を解消する。
また固定資産投資の適正化と同遊休施設の解消など経済事業の財務改善目標なども掲げた。
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