JA全農の子会社(株)組合貿易が輸入した黒豚肉を別の業者が国産に偽装した問題で農水省から業務改善命令を受けた全農は1月25日同省に報告した。組貿はすでに食肉輸入の業務から撤退しているが、全農本体としては米国産黒豚肉の輸入を続けるとしている。
記者会見で田林聰理事長らは輸入継続について「国産肉の販売を促進するためには、それを補完する輸入品も品ぞろえしなければならない。輸入品がゼロだと国産品販売に支障をきたすため限定的な輸入は続けていく」などと語った。
また取引先からもセット販売が求められているとした。取引先の中には「商売として輸入品も併せて品ぞろえするのは当然だ」との声もあるという。相場のよいタイミングをみて国産品の販売量を増やす手法をとるのはマーケティングの常識だとの認識もある。
さらに国産品を供給できない部分を輸入で補完するという自給率の低い構造がその背景にある。業界の取引の現状には、そういった低い自給率からくる制約があるという。
平成15年度の国内の豚肉出回り量は171万トン。その約半分が輸入品となっている。
こうした中で全農は協同組合理念にもとることがないよう業務改善計画では、輸入農畜産物の取り扱いに関する判断基準・方法・契約内容・品質管理などの考え方を整理した「輸入農産物取扱ガイドライン」を策定するとしている。
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