農業協同組合新聞 JACOM
   
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文化と協同の力で広める 人・JA・地域 元気の輪
―『家の光』創刊80周年記念全国家の光大会(2/4)

 (社)家の光協会は2月4日、パシフィコ横浜国立大ホールで『家の光』創刊80周年記念 全国家の光大会を開いた。大会では家の光文化賞表彰式や記事活用、普及・文化活動の体験発表などが行われ、創刊80周年を機に新たな決意のもとJA教育文化活動を実践していくことを出席者で申し合わせた。

◆協同の精神は基本理念

 『家の光』が創刊されたのは大正14年。創刊号には当時の産業組合中央会会頭、志村源太郎の「共同心の泉」が掲載された。この巻頭言では、『家の光』は組合員の共同精神を家庭で養うことが目的だと強調している。池端昭夫会長は開会のあいさつで「80年の歴史によって培われた事業機能を最大限に活かし、組合員や地域住民が幸せで農業・農村・地域社会が活性化することを願って全力を尽す」と述べた。
 来賓として常田農林水産副大臣(島村農相祝辞代読)は「農林水産業は毎日の国民生活に深く関わっている。今後とも農業政策、経営改善、生活文化の向上に関する情報提供に尽力を」と述べた。
 また、JA全中の小林副会長(宮田会長祝辞代読)は「協同の精神はJAグループの基本理念だけでなく、広く心の拠り所として大切な理念。JA改革の実践に組織あげて取り組んでいるが実践の基盤は組合員に協同組合の理念を広めJAに結集してもらうこと」と家の光協会の今後の活躍に期待を寄せた。

◆5JAが家の光文化賞に

JA鳥取中央の坂根國之組合長の音頭により申し合わせが確認された
JA鳥取中央の坂根國之組合長の
音頭により申し合わせが確認された
 昭和24年に制定された「家の光文化賞」は、教育文化活動の取り組みが創意工夫に富み、家の光事業がJAの事業活動に明確に位置づけられ成果をあげているJAに贈られ、これまでに延べ236組合が受賞している。
 大会では第55回家の光文化賞の表彰式が行われた。受賞JAは、JAいわて中央(長澤壽一組合長)、JA横浜(志村善一組合長)、JA松本ハイランド(村山歡治組合長)、JAぎふ(栗本弘組合長)、JAたかつき(井川勝巳組合長)の5JA。同賞の賞状、中央会賞金と合わせ、コチア産業組合正賞の置時計、副賞の中央会記念賞も贈られた。
 コチア産業組合記念賞は、太平洋戦争後の日本の惨状を知ったブラジル・コチア産業組合の組合員、職員の有志がわが国の農村、農協の振興のために集めた募金がもとになっているもの。家の光協会が基金として昭和26年から家の光文化賞受賞組合に贈呈している。
 そのほか、家の光文化賞促進賞として5JA、普及実績JAも表彰された。

◆記事ヒントに多彩な活動

農林水産大臣賞に選ばれた佐賀県代表・木下敏恵さん
農林水産大臣賞に選ばれた佐賀県代表・木下敏恵さん
  家の光大会が最初に開催されたのは昭和32年。この日は、当時の記事活用体験発表や審査風景などのニュース映像も紹介された。
  記事活用、普及・文化活動体験発表は前日に行われ、この日はそのなかから選ばれた9人が全国大会の発表に臨んだ。
 記事活用体験は、安部千鶴子さん(JAあきた北)、松本重子さん(JA埼玉ひびきの)、小林英子さん(JAならけん)、森本真理子さん(JA鳥取中央)、木下敏恵さん(JA佐賀みどり)、黒木千雪さん(JA尾鈴)の6人。
 このうち佐賀県代表の木下さんが農林水産大臣賞に選ばれた。
 木下さんの発表は「『家の光』で楽しいこと見―つけた!」。
 女性部の支部長の木下さんは、農繁期には家族そろって農業をするが、ふだんは米とミカンづくりを一人で担う「かあちゃん農家」だ。『家の光』は農家に嫁ぐことが決まったとき、父親が嫁入り道具としてもたせてくれたという。以来、記事からさまざまなヒントを得て女性部活動などに活かしてきた。
 女性部の会合では記事の感想をお互いに話すことで前向きでプラス思考にみんながなっているという。女性部の活動の柱は環境問題と食農教育で食品リサイクルや粉せっけん使用、子どもたちを集めた学習会などに取り組み成果が少しずつでてきた。
 その一方で記事をヒントに絵手紙に興味を持ち、仲間と独居老人に絵手紙を送るボランティア活動を始めた。また、図書館で知り合った母親グループと本の読みきかせ活動も。「家族の絆、命の大切さを理解してもらいたいと、家の光おばさんとしてデビュー」した。
 さらに本の絵を参考にオリジナルの紙芝居を作成し、子どもたちや女性部の集まりで披露、仲間の共感を得て同じ活動をはじめる女性たちが増えていった。
 「本を読むこと、絵を描くことをヒントに楽しいことがずっと広がった。たくさんの人に喜んでいただける幸せに心が満たされている」。女性農業者として次世代を担う子どもたちに、食べものと農業の大切さをしっかり伝えていきたいという木下さんは「家の光にはたくさんの宝の引出しがあって自分にあった引出しが必ずある。みなさんも楽しいことをはじめましょう」と呼びかけた。
 藤谷築次審査委員長は、「今回は6人とも女性農業者としてがんばっている姿が伝わった。なかでも木下さんは家の光を徹底的に活用して組織の内外に農業、農村のよさを伝えているユニークな活動が評価された」と講評した。

◆地域を巻き込んださまざまな取り組み

全中会長賞受賞の栃木県JAはが野・渡辺修一さん
全中会長賞受賞の栃木県JAはが野・渡辺修一さん
 普及・文化活動の部で発表したのは渡辺修一さん(JAはが野)、川島陽子さん(JAぎふ)、速水和美さん(JA大阪市)の3人。
 このうち全中会長賞に選ばれたのはJAはが野の渡辺修一さんの「愛・生命そして未来へ 生活文化活動はJAファンづくり」。
 JAはが野では家の光普及など教育文化活動を総合企画部が担当。女性会の活動に力を入れるため、各支部で全職員がさまざまな活動を支える事務局役をつとめるなど組合員参加を促してきた。女性大学の発足や女性の正組合員化などにも力を入れている。
 そのほか組合員だけでなく地域全体を対象にした生活活動刷新方策を策定し、生活指導員をライフパートナーと改称。若者を対象にしたお見合いツアーもJAが行うなど地域住民との絆づくりを通してJAのファンづくりを積極的に行っている。
『ちゃぐりん』愛読者特別発表の秋田県・畠山真菜美さん
『ちゃぐりん』愛読者特別発表の
秋田県・畠山真菜美さん
 藤谷審査委員長は、「教育文化活動を総合企画部の業務とするなど位置づけが明確。生活指導員の名称変更や地域を巻き込んだ活動など示唆に富む取り組み」と評価した。
 また、藤谷委員長は「家の光はJAの栄養ドリンクだという人がいる。まさに教育文化活動はJA運動のあるべき方向へ誘うもの。文化と協同の力で地域農業と地域の活性化、組合員に真に役立つ改革が求められている」などと語った。

【池端昭夫会長のあいさつ】

 『家の光』は創刊時から「協同の心を家庭で育む」ことを目的に組合員の営農と生活の向上、地域文化の向上、JA運動の発展に取り組み多くの人に読み継がれ育まれてきた。
 16年度は「21世紀第2次家の光事業中期計画の初年度としてJA教育文化活動の活性化支援、JAへの結集力を高める『家の光』100万部愛読者ネットワークづくり、12月号での『家の光』刷新をはじめ『地上』、『ちゃぐりん』、『やさい畑』、「家の光図書」を含む5つの媒体の充実、JA女性組織の活性化支援、次世代対策の支援、事業改革による経営基盤の強化の6つの重点方針を掲げている。人が元気、組織が元気、地域が元気になる「元気キャンペーン」も展開中。
 時代は転換、改革期。80年の歴史によって培われた事業機能を最大限に活かし、組合員や地域住民が幸せで農業、農村、地域社会が活性化することを願ってJAグループの一員として全力を尽す。

『家の光』創刊80周年記念
全国家の光大会申し合わせ

わたしたちは、「家の光』創刊80周年記念大会にあたり、新たな決意のもとに、本大会で学んだことを、明日からのJA教育文化活動に活かし、人・組織・地域の元気づくりをすすめるために、次のことを申し合わせます。

一、協同することの大切さを学び、「参加・参画する仲間づくり」の
ため、『家の光』創刊80周年記念誌面刷新・長期愛読者拡大運動に取り組み、JAに結集する仲間の輪をひろげます。

一、「食と農の教育」をすすめ、食の安全・安心と農の信頼を築き、
食の大切さ、農の果たす役割への理解を深める取り組みをすすめます。

一、いのちと環境を大切にし、高齢者福祉・地域の助け合い活動、
次世代を育む活動に取り組み、JAへの求心力を高め
心豊かで安心できる地域づくりをすすめます。

一、『地上』『ちゃぐりん』『やさい畑』「家の光図書」の普及活用運動に
取り組み、多彩な記事活用・文化活動を展開します。

以上、実践することを申し合わせます。

平成十七年二月四日『家の光』創刊80周年記念全国家の光大会出席者一同

(2005.2.10)


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